ASHRAEがエッジ施設の信頼性に関する最新ガイダンスを公開

データセンターの効率や信頼性に関する標準リファレンスソースとして有名なASHRAEは、エッジリソースの出現に注意を向けています。

データセンターの効率性に関する基準を定義した ASHRAE の技術委員会9.9(TC9.9)が、エッジコンピューティングの設計と運用に関する技術情報を公開しました。これは、事業者に対し、集中型データセンターと同等の信頼性と効率性を備えるシステムの構築及び管理を実現できるよう支援することを目的としています。この最新の技術情報では、空調が行き届いていないあるいは保護されていないスペースに一般的な機器を設置することで発生する新たな問題に対し、ASHRAEの専門知識を適用している、とTC9.9の最初の委員長であるDon Beaty氏は述べています

ドアを開ければ…

「一般的なデータセンターでは、ドアを開ければその周辺は環境的に制御されています。それは屋内気候です」と、Beaty氏はDCDの CTO Stephen Wornとのビデオインタビューの中でこう述べています。「 データセンター にあるのと同じ機器が現在 エッジコンピューティング ・データセンターに置かれている、しかし現状は、半空調または無空調スペースの扉が開かれている状態です。それは倉庫や屋外にドアを開けているようなものです。これは非常に重要かつエキサイティングなことです。データセンターは、IT機器への環境問題の急増には直面していません」

2004年にASHRAEのTC 9.9による画期的な”データ処理環境におけるサーマルガイドライン”が公表されたことで、データセンターの効率や信頼性は向上しました。そしてこのサーマルガイドラインはパフォーマンス向上をするうえでのグローバルなデファクトスタンダードとなり、これにより、 エコノマイザーフリークーリング などの多くのテクノロジーの導入に繋がりました。このドキュメントとそのアップデートは集中型DCにフォーカスしていますが、業界は、低遅延アプリケーションをサポートするエッジサイトでのリソース提供をますます要求してきています。現在、これらの小規模施設に対するガイダンスが必要とされている、 Beaty氏は言います。

「我々の全ての書籍の中で、これは以前のサーマルガイドライン以降最も影響力がある」とBeaty氏は言います。「これは、エッジデータセンターのデファクトスタンダードになると思う。ASHRAE Technical Committee(TC)9.9は、エッジコンピューティングの設計や運用に関する予期せぬリスクに対処する」

「エッジコンピューティングは、IT機器を不利な環境条件にさらす可能性があり、信頼性やアップタイム(稼働時間)を損なう可能性があります。「ASHRAE TC 9.9は、これらのリスクを軽減するためのベストプラクティスについて、大手IT機器メーカーと共同で長年研究開発を行ってきました。この技術情報は、今後のあらゆるエッジ導入への青写真として役立つ先駆的な取り組みだと思っています」

エッジははるかに数多くのデータセンターを要求します。よって、エッジデータセンターは信頼性やエネルギー削減への取り組みに大きな影響を与える可能性があるとBeaty氏は述べています。そして、これが冗長性の提供を難しくし、ITスタッフが信頼性を確保することが難しくなります。「設計が間違っていると、多くの場所で障害が発生してしまいます。それは大きな問題であり、しかもそこは遠隔地です」とBeaty氏は言います。

最新技術情報 Edge Computing: Considerations for Reliable Operation (エッジコンピューティング:信頼性の高い運用に関する考慮事項)は、 ASHRAE のデータセンターガイダンスのブックストアから無料でダウンロードできます。

Data Center Dynamics

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