Cloud&Heatが500kWのコンテナ型スパコン”The Beast”発表

今後はイギリスとアメリカでもビジネスを強化する見込み

ドイツの新興企業Cloud&Heatが、液体冷却システムを備えたコンテナ型スーパーコンピューターを、2019/3/12からロンドンで開催されていたCloud Expo Europeでローンチしました。ユーザーは、500kWあるいは1MWの冷却能力を持つコンテナを選択でき、英国で販売されることが発表されました。

– Cloud&Heat

世界で最もエネルギー効率性の高いスーパーコンピューターと称される”The Beast”は、標準的な20フィート(6メートル)のコンテナに、最大17,280ものCPUコアないしは1,056ものGPUノードを収容できます。

冷却には、同社の温水冷却システムが使用されています。 冷却システムは、密閉回路を用いて熱を除去しており、DellやLenovo、Supermicro、富士通や、カナダのスタートアップであるCoolITといったベンダーが利用している液体冷却ソリューションの熱源装置として統合して使うことができます。

Cloud&Heat創設者のJens Struckmeier博士は 「我々は、持続可能なソリューションで、エッジコンピューティングにおける数々な難題を解決してきました」「Cloud&Heatの冷却システムでは、冷却に使用された温水は60°C/140°Fで排出(Output)されるよう設計されていますが、最大70°C/158°Fまで対応することができます。たとえ砂漠の真ん中でも、従来の空調設備に頼ることないソリューションを保持しており、循環式(密閉)のため水を消費することもありません。」

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– Cloud&Heat

液体を用いた冷却は、エネルギー密度を高めることができます。The Beastによると、ラックあたり80kW以上の冷却能力を提供することができるため、20フィートのコンテナに搭載された6つのラックによって総計500kWに熱除去へ対応することができるとCloud&Heatは述べます。Struckmeier氏によれば、同社は12メートルコンテナに対応した製品の開発を約束しており、スーパーコンピューターの電力として最大1MWを搭載することができるようになるかもしれません。The Beastは、迷彩色、ゴールド、エアブラシの3色で発売される予定です。

エコソリューションとして注目される液体冷却

液体冷却の恩恵の一つとして、冷却によって発生した温水を再利用できることがあげられます。熱の再利用は近年注目されており、例えばストックホルムでは北欧のデータセンター事業者DigiPlexが、自社データセンターを地元の地域暖房システムに接続し、10,000世帯分の暖房能力を供給するなど、活発な動きが見受けられます。

Cloud&Heatの新システムThe Beastは、水冷サーバー限定のソリューションではなく、比較的消費電力の低い従来の空冷式ラックも管理することが可能です。空冷サーバーから出た熱はコンテナ内で回収され、更にヒートポンプによって温められ暖房システムへと再利用される仕組みができています。スウェーデンやデンマークなどの北欧地域で求められている熱利用に応えるソリューションとして確立しています。

Cloud&Heat社はこれまでもドイツの冷却ソリューションベンダーStulz社と提携し、 排熱再利用のソリューション開発を進めるなど、社会/地域貢献にも積極的な取り組みをしています。

Data Center Dynamics

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