フランス原子力・代替エネルギー庁、Armベースのスパコンを導入

Armチップベースのスパコンシステムが相次いで発表される

フランスの原子力・代替エネルギー庁(CEA)は、Marvell社のArm プロセッサ ThunderX2を組み込んだスーパーコンピューターシステム「BullSequana X1310」を軍事技術部門に導入する予定です。スパコンシステムはAtos社によって提供されます。

BullSequanaX
– Atos

CEAは、1945年に設立された、軍需・民需を問わずに原子力の開発応用を推進するフランスの政府機関です。核エネルギーの研究や生命化学研究、物質科学研究、核兵器開発、近年では新エネルギーや地震などの多岐にわたる研究に取り組んでいます。

新しいスパコンシステムは、今年の終わり頃に、ブリュイエール=ル=シャテル地域にある同部門センターへと組み込まれる予定です。
フランスでは、1996年に核実験を中止しているため、同機関は「BullSequana」を利用して、核実験を伴わずに核兵器システムのモデル化や放射性崩壊の研究をしています。

今回の発表は、米国エネルギー省のロス・アラモス国立研究所が、独自の核研究に関する作業のために、ThunderX2 Armチップを搭載したCray社製スーパーコンピュータシステムを導入したと公表した翌日に明らかにされました。

原子力の研究

新しいスーパーコンピュータには、92個のBullSequana X1310 ブレードサーバー が搭載され、1ブレードあたり3つの計算ノードが搭載されています。
各ノードは、256GBのメモリと InfiniBand EDR インターコネクトを備えるArmv8-A命令セットに基づいた、2.2GHzのデュアル32コアMarvell ThunderX2プロセッサを搭載しています。

システムは、欧州委員会から資金提供を受けている「Mont-Blancプロジェクト3」の一部です。同プロジェクトは、ARMプロセッサとGPUのコプロセッサに基づいたエネルギー効率の高い エクサスケールスパコン を作ることを目的としており、フランスのサーバーメーカーBull社もプロジェクトのメンバーに含まれています。

Atos社で大規模データセキュリティ研究開発の責任者を務めるSophie Proust Houssiaux氏は
「このシステムは、Mont-BlancプロジェクトによるArmチップのテスト/評価の一環として、Atos社が開発したプロトタイプの商用版です。モデルをユーザーが利用可能な状況へと変えていくことは、技術を広く開示するポリシーや、ヨーロッパのスパコン技術を支えていこうという我々の方針に非常に則しています」
と語りました。

Marvell社のサーバ・プロセッサ事業部門VP兼GMであるGopal Hegde氏は次のように付け加えました。
「Marvell社は、Armアーキテクチャの開発の加速、重要なコード最適化に向けてCEAおよびAtosとパートナーシップを結べることを嬉しく思います。CEAは、科学技術革新と高性能コンピューティングの専門技術分野では高いリーダーシップによって世界中から尊敬を集めています。このコラボレーションは、ThunderX2におけるHPCソフトウェアアプリケーションエコシステムの成熟をさらに加速させていくでしょう。」

– Data Center Dynamics
原文はこちら

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