ドイツのCloud&Heat社、欧州中央銀行データセンター跡地に移転

効率的な施設がEurotheumビルのオフィスやホテルを暖める

暖房ビジネスも手掛けるドイツのクラウドプロバイダーCloud&Heat社は、フランクフルトの構想要るに以前欧州中央銀行(ECB)が入居していた2フロアのデータセンター跡に移転することになりました。同ビルの他のテナントは施設の排熱の恩恵を受けて、年間70,000ユーロほど節約できるでしょう。

Cloud&Heat社は、フランクフルトのノイエ・マインツァー通りにあるEurotheumビルの2フロア、640平方メートルのスペースに最大84台のサーバーラックを設置します。ここは、2015年まで欧州中央銀行のデータセンターでした。現在、Eurotheumビルにはオフィス、住居スペース、ホテルが入っていますが、今年の秋に施設がオープンになると排熱を利用できるようになります。

排熱バンク

CCloud&Heat社は、 OpenStack をベースにした IaaS クラウドサービス、または物理サーバー上のプライベートクラウドサービスを提供し、顧客に代わって管理および運用します。ダイレクトチップ冷却システムは、サーバーの排熱を回収して再利用して、ビル内にウェブ接続されたサーバー筐体を収容することと引き換えに、無償で暖房を提供しています。

Cloud&Heat社は、ドレスデンでは2016年に地下に設置されたデータセンターが1.05の PUE で稼働していたと報告していますが、その排熱のほとんどが上階の住居フロアの暖房に利用されました。このことから「世界で最もエネルギー効率の高いデータセンター」と評されています。同様の施設は、ハムとミュンスターでも運営されています。

Cloud&Heat社は注目の場所に移転してきますが、これはフランクフルトの温暖化防止政策の一環です。同市は2050年までにエネルギー需要を50%削減し、温室効果ガスを1990年レベルと比較して95%削減することを宣言しています。

フランクフルト市エネルギー局のW.フィービッヒ局長は、Cloud&Heat社のEurotheumビル移転を歓迎しました。データセンターがエネルギー需要を抑えられるのならば、フランクフルトに恩恵をもたらすでしょうと指摘しています。「Cloud&Heat社のような省エネルギーのコンセプトがフランクフルトを支援してくれるでしょう」と語りました。

施設が2フロアを完全に占有するならば、Eurotheumビルに最大600kWの熱を供給します。この熱は、直接液体冷却システムによって回収されて、ビルの暖房システムに直接供給されます。そして、オフィス、会議室、レストラン、およびビル内のホテルによって利用されることになります。

この施設では年間約40,000ユーロの暖房費を節約できるとCloud&Heat社は言います。これはエネルギー需要の低い家庭であれば約150件分に相当します。液体冷却は、データセンターにおける従来の冷却手法と比較すると、年間約30,000ユーロの節約になると同社は述べています。

すべてがうまくいくと、1階のサーバーラックを増やして高密度なデータセンターのスペースを拡張することができます。

「Eurotheumビルでは、戦略的に重要な場所でクラウドインフラ基盤を拡張しています」とCloud&HeatのCEO、N.レール氏はこのように述べています。「最新の世代のサーバーをインストールするだけで、最も厳しいデータ、プロセス、および障害のセキュリティ要件まで満たすことができます」

このニュースは、排熱分配システムに関する最近の一連の発表の最後を飾るものです。フランスのStimergy社が運営するデータセンターの排熱を利用したプールや、オランダのNerdalize社によるクラウドファンディングの実践は、最終的には、オランダ・デルフト市の住宅における業者から家屋内に無償で設置されたサーバーからの排熱利用に至るでしょう。

-Data Center Dynamics
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