世界最速のスパコン”Summit”が誕生 – 毎分15000リットルの水で冷却

オークリッジ国立研究所の最新機器はIBMとNvidiaのチップを搭載

米国エネルギー省のオークリッジ国立研究所( ORNL )が、世界最速のスパコンを公式発表しました。

ピーク性能200 ペタフロップス のSummitは、現在米国で最速のTitanよりも強力で、これまで世界最大のシステムでだった93.01ペタフロップスの中国製Sunway TaihuLightを容易に上回る性能です。

13MWのSummitは、4,608個のサーバーに9,216個のIBM Power9プロセッサと27,648個のNvidia Volta GPUを搭載しており、それらをNvidiaの次世代NVLinkが相互接続しています。ノードはMellanoxのdual-rail EDR InfiniBand networkによって接続されていて、相互に毎秒200ギガビットを伝達します。

この2億ドルのスパコンは、9,250平方フィート(859平方メートル)の空間に収容され、冷却を保つために毎分4,000ガロンの水を必要とします。また長さ185マイル長の光ファイバーケーブルを擁しています。

効果は絶大

「本日Summitというスパコンを発表したことで、科学的イノベーションおよび技術開発における米国のリーダーシップが示されました。エネルギー研究、科学的発見、経済競争力、そして国家安全保障の分野において、重大な影響を与えることになるでしょう」とエネルギー省長官でP・ペリー氏が発表会で語りました。

「私はSummitのもつ可能性に本当にワクワクしています。なぜなら、Summitによってアメリカが2021年までにエクサスケールのスパコンを調達するという目標に一歩近づくからです。科学者たちの広範囲にわたる新しい課題への取り組みをSummitは支援し、発見を早め、イノベーションを奨励し、そして何よりも米国民の利益になります」

Summitが実行する研究計画には次の通りです:
* 癌研究:エネルギー省と米国国立がん研究所が取り組むCancer Distributed Learning Environment (CANDLE)と呼ばれるプログラム
* 核融合エネルギー:Summitが核融合炉と磁気に限定されたプラズマをモデル化し、商業開発を促進。
* 疾病と中毒;研究者は人間のヒトタンパク質や細胞系の機能や進化のパターンを特定するため、またアルツハイマー病や心臓病そして中毒の理解を助長するため、そして、創薬プロセスを解明するためにAIを駆使します

Summitは今年中にもプロジェクト選定を公表するようです。その一方で、ORNLとIBMは合意プロセスを進めます。来年、IBMのシステムへの膨大なアクセスは、エネルギー省のINCITE(Innovative and Novel Computational Impact on Theory and Experiment)プログラムによって選抜された研究チームに渡ります。

Top500 のリストに載っているスパコンの数では依然として中国が米国を上回っています。より高速なシステムを開発するために、中国は日本や欧州と一緒に米国と競争を繰り広げています。

– Data Center Dynamics
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