IBMがITサービス事業を分割しクラウドに注力へ

IBMは、同社が持つITサービス事業を新会社に分社化します。これによりクラウド、AI事業の拡大が可能になる、とCEOのArvind Krishna氏は述べています。

レガシーサービス事業は、企業が保有するITを取り扱う公開会社(社名は未決定)になります。(およそ190億ドルの収益から開始)残りの部門は、クラウドIT( ハイブリッドクラウド を含む)に注力する事業として継続します。これは、IBMが2019年に340億ドルで買収したRed Hatビジネスの一部であるOpenShiftに基づきます。IBMのハードウェア事業部門はメイン企業に残ります。

IBMはプレスリリースで、分社化は2021年末までには完了する予定としており、その時点で現在NewCoとするサービス新会社の社名が決定されると述べています。

ITサービスは古い

IBMは当初、ITとテクノロジーのワンストップ企業を目指し、多くの部門を積み重ねてきました。1990年代には、Lou Gerstner CEOの下、ITサービス企業に変化しました。過去20年間、同社はプリンター、ネットワーク、PCなどのさまざまな部門を分割してきました。そしてついに、190億ドル、つまりIBMの収益のおよそ4分の1の売上を持つITサービス事業が分社化されます。これにより、IBMは、現在急速に成長しているクラウド市場(しかしAmazonやMicrosoftに遅れをとっている )に注力できるようになる、とArvind Krishna氏は述べています。

競合のHPEは、2008年にEDSを買収し、遅れてサービス事業に参入しましたが、より早く撤退しました。2016年、HPEはサービス事業を分離し、既存ITサービス会社のCSCと合併し、260億ドルのITサービス会社DXCを設立しました。

「IBMは1兆ドル規模のハイブリッドクラウド市場に一点集中する」とKrishna氏はリリースでこう述べています。「当社のハイブリッドクラウドプラットフォームの採用が加速している一方で、アプリケーションおよびインフラストラクチャサービスに対するクライアントの購入ニーズは多様化している。今こそ、それぞれが最も得意とすることに注力する、2つの”市場をリードする企業”を設立する良い時期だ。IBMはオープンハイブリッドクラウドプラットフォームに注力していく。 NewCoは、世界で最も重要な組織のインフラストラクチャを設計、実行、および最新化するための俊敏性を向上していく。両社は、パートナーや新しい商談を獲得する力が向上し、成長軌道は改善されるだろう、そしてそれはクライアントや株主に価値をもたらすだろう」  

IBMの前CEOで、現在はエグゼクティブチェアマンを務めるGinni Rometty氏は次のように述べています。「我々はIBMをハイブリッドクラウドの新時代に向けて位置づけている。我々は複数年にわたる変革を行い、オープンハイブリッドクラウドプラットフォームの基盤を構築し、そしてRedHatの買収によりそれを加速した」

NewCoは、フォーチュン100の75%以上を含む、115か国で4,600社を超えるクライアントから開始する予定であるとリリースでは述べられています。これは、最も近しい競合の2倍の規模であるとIBMは主張しています。

2社それぞれ独立した企業として、IBMは1兆ドル市場の「デジタルトランスフォーメーション」に注力し、一方NewCoは5,000億ドル市場の「インフラストラクチャの近代化」に取り組んでいく、とKrishna氏そしてRometty氏は述べています。

当初の発表に対しての実体はまだ伴っていませんが、IBMは、「ITサービスが収益の半数以上」の会社から「高付加価値のクラウドソフトウェアとソリューションが過半数を占める」会社に移行していく、と述べています。

Data Center Dynamics

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