Open19ラック規格プロジェクトがLinux Foundationに移行

LinkedInが2017年に立ち上げたオープンソースハードウェアプロジェクト「Open19」が、創設者のYuval Bachar氏の指揮のもと、Linux Foundationに移行しました。

Open19プロジェクトは、LinkedInがネットワークスイッチを含むデータセンター用の簡易ハードウェアを独自に開発し、ラックデザインなどのオープンソースハードウェアのシステムをスピンアップしたことから始まりました。その後、LinkedInがマイクロソフトに買収されたことで、Bachar氏はフェローとしてのパートタイムの役割に移行し、Open19の仕様はLinux Foundationによって維持されることになりました。

エッジとデータセンターのハードウェア向けの新世代のOpen19仕様は、2021年半ばに公開される予定です。

Open for business

Bachar氏はDCDに対し次のように述べています。「Open19は2016年に始まった。それから5年ほど経って、サーバ1台あたりのパワーは変化し、ネットワークの帯域幅も増加した。私たちはそれを2段階上の、サーバあたりの電力をより高い位置に持っていく。コアプロセッサやアクセラレータなどの新たなテクノロジーに対応し、後方互換性を維持することで、旧式のサーバを新しいシステムに対応できるようにしていく」

新たな仕様では、ケーブル配線を必要とせず高い信頼性を持つOpen19の原則を守りつつ、適用範囲をエッジにまで広げていく、と彼は述べています。

Linux Foundationに属することで、Open19は、管理やプロビジョニングなどのソフトウェアプロジェクトとの統合が可能になるとBachar氏は言います。「我々は、今後更に多くのソフトウェアパッケージを導入していく予定だ。ソフトウェアの機能をOpen19に統合するのは私たちにとって簡単な事である」

彼は、今後のイベントや、最終的には直接のミーティングなどを通じて、Open19コミュニティを活性化させたいと考えています。「元祖Open19と同様、これはコミュニティの努力によるものだ。大手が『作ってこい』と言うものではない。私たちはコミュニティを再構築し、新しいメンバーを加え、古いメンバーを一新していく。目標は、これをあらゆる人々に広げることだ。あなたが誰であっても、ここに立ち寄ることができる。ソフトウェアを開発するのに、20人もの人は必要ない」

オープンのルーツ

Open19は、Open Compute Project(OCP)と同様の目的で始まりました。OCPは、Facebookがコスト削減できる同社のデータセンターのハードウェア設計を共有し、それを普及させるために立ち上げられました。しかし、OCPが21インチ幅のハードウェアを搭載するラックを提案するなど抜本的な改革を行ったのに対し、Open19は従来の19インチラックを維持しつつ、ブレードを持つケージや配電システムなどの標準化を作りました。仕様は例えば、brick cage、server brick form factor、power shelf and blind-mate power and data connectorsなどがあります。

Open19が発表されたとき、当時LinkedInのプリンシパルエンジニアであったYuval Bachar氏は、このアプローチによってハードウェアの大幅な節約が実現できると主張していました。「私たちは、PDUや電源、ラックなどの共通要素で50%のコスト削減を実現したいと考えていた。しかし、実際には65%を達成することができた」

2016年にマイクロソフトがLinkedInを260億ドルで買収すると、マイクロソフトはOCPを支援し、LinkedInのデータセンターはすべてMicrosoft Azureに移されることになり、Open19の役割は明確ではなくなりました。その後いくつかの熱心なOpen19サミット会議を経て、昨年のイベントはCovid-19パンデミックの影響で中止されました。

しかし、Open19にはいくつかの支持者がおり、その中には、買収したPacketのBare Metal as a ServiceサービスにOpen19ハードウェアを採用するエクイニクスも含まれています。Open19は、ベアメタルデータセンターサービスだけでなく、エッジにも力を入れています。また、シスコもOpen19の技術を採用しています。

マイクロソフトに在籍していたBachar氏は、同社を辞めたばかりです。彼はLinux FoundationのOpen19フェローとしてプロジェクトを率いるとともに、自身のスタートアップの立ち上げにもひそかに取り組んでいます。

Open19 Foundationのチェアマンであり、Equinix Metalのマネージング・ディレクターを務めるZachary Smith氏は、次のように述べています。「 Linux FoundationのオープンハードウェアプロジェクトであるOpen19 Projectは、デジタルビジネスが特殊なインフラを活用するためのソリューションを生み出すことに専念している。 Linux Foundation に参加して、現代のデータセンターが直面している課題を、協力的かつオープンなコミュニティ主導のイノベーションで解決していけることを嬉しく思う」

Linux Foundation は、Linux オペレーティングシステムなどのソフトウェアをサポートしていることでよく知られていますが、オープンソースハードウェアについてもすでにいくつかの取り組みを行っています。もともとIBMが生み出したPowerプロセッサアーキテクチャの命令セットを管理するOpenPower Foundationは、2019年にLinux Foundationに参加しました。また、同財団はDPDK、OpenBMC、RISC-Vプロジェクト、LF Edge、Cloud Native Computing Foundationsなどを管理しており、エクイニクスのベアメタルプロビジョニングエンジン「Tinkerbell」などのプロジェクトを生み出しています。

Data Center Dynamics

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