Top500:米国が首位を堅持、Green500は富士通、台数は中国

サミットはまだ頂上

世界最速のスーパーコンピュータを決める第54回 Top500 リストでは、米国が首位を堅持しましたが、システムの全体数では中国が支配的なポジショニングを獲得した結果となりました。

IBMの148.6ペタフロップス( PFLOPS )を誇るSummitは引き続き世界最速のスーパーコンピュータの地位を保ち、94.6ペタフロップスのSierraがそれに続きました。3位は、中国のSunway TaihuLight(神威・太湖之光)スーパーコンピュータで、93ペタフロップスの高性能Linpackベンチマークを備えています。

Top500その他

トップ10の他ランキングは、前回6月と同様で、4位は61.4ペタフロップスの中国国防技術大学(NUDT)のTianhe-2A(Milky Way-2A)でした。DellのFronteraは5位で、2018年にテキサス大学の Texas Advanced Computing Centerで23.5ペタフロップスを記録しました。

ヨーロッパで初のシステム、21.2ペタフロップスのスイス国立スーパーコンピューティングセンター(CSCS) Piz Daint が6位に入りました。続いて、米国の核兵器ワークロード用のシステム、Trinityが7位。これはロスアラモス国立研究所が運用中の20.2ペタフロップスのCray XC40システムです。

8位は日本、19.9ペタフロップスの産業技術総合研究所 ( AIST: 産総研 )の AI橋渡しクラウド(AI Bridging Cloud Infrastructure:ABCI)でした。9位は、ミュンヘン近くにある Leibniz Supercomputing Centre の19.5ペタフロップスのSuperMUC-NGシステムでした。

10位は、18.2ペタフロップス、 ローレンスリバモア国立研究所 の Lassen スーパーコンピュータでした。

国別のシステム数シェアでは中国が支配

全体のシステムの総パフォーマンスは1.65エクサフロップスとなります。最もパワフルな新スーパーコンピュータは25位のAiMOSで、HPL(High Performance Linpack – TOP500で使用されるLINPACKベンチマークの実装)の結果は8.0ペタフロップスでした。

6か月前のリストには、約219台の中国製のマシンがランクインしていましたが今回、米国の118台をはるかに上回る227台という結果でした。

しかし、米国のシステムは全般的によりパワフルであるため、米国はリスト全体の総パフォーマンスの37.8%を占めており、中国の31.9%を上回っています。

日本はTop500の総合ランクで第3位で、システム総数は29でした。他にはフランスが18、ドイツが16、オランダが15、アイルランドが14、イギリスが11でした。

ベンダーに関しても、中国の企業が同様支配的です。Lenovo(174システム)、Sugon(71システム)、Inspur(65システム)。Crayは36システム、HPEは35システムと続きますが、HPEがCrayを買収したことで、合わせて71システムになります。

チップの側面で見ると、Intelは500システムのうち470を占め、存在感を示しています。IBMには14で、AMDはわずか3です​​。今回、リストに2つのArmチップを採用するスーパーコンピュータが入りました。 MarvellのThunderX2プロセッサを実装するサンディア国立研究所のAstra、および富士通のA64FXチップを採用した「富岳」プロトタイプシステムです。

Nvidiaはアクセラレータの主要ベンダーであり、145台のアクセラレーテッドシステムのうち136台にGPUが搭載されています。

イーサネットはシステムの52%(258台)で使用され、 InfiniBand はシステムの28%(140台)で使用にとどまりますが、InfiniBandベースのマシンはリストの総パフォーマンスの40%を占め、イーサネットベースのマシンは29%と逆転現象になっています。カスタマイズされたインターコネクトの使用は46台で、総パフォーマンスの22%を占めます。

Green500では富士通の「富岳」プロトタイプが1位

システムのエネルギー効率を測定する Green500 については、この6か月間で多くの変動がありました。

新たに首位の座に就いたのは富士通と 理化学研究所が共同で開発を進めているA64FXチップを搭載する「富岳」プロトタイプスーパーコンピュータで、16.9ギガフロップス/ワットを実現しました。これは2021から2022年初頭にかけて エクサスケールシステムとして運用開始が予定されています。

Green500の第2位はNA-1です。これは、PEZY ComputingのPEZY-SC2プロセッサを使用し、16.3ギガフロップス/ワットを実現したZettascalerマシンです。日本のNA Simulationでの将来の設置に備えて準備中です。

3番目はIBMのAiMOSシステムで、さらに2つのBig Blue(=IBM)のシステムが続きます。4位のSatoriは15.6ギガフロップス/ワット、5位のSummitは14.7ギガフロップス/ワットです。後は、 6位のAIST(産総研)、7位 MareNostrum P9 CTE(スペイン)、8位TSUBAME 3.0(東工大)、9位PANGEA III(フランス)、そして10位のSierraでした。

Data Center Dynamics

原文はこちら

※ DC ASIAにて一部加筆

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