TSMCの工場がウイルス感染により閉鎖、半導体製造に影響

未パッチのシステム全体がWannaCry亜種に感染、収益予測は2億5,500万ドルまでダウン

世界最大の半導体メーカー台湾のTSMCは、コンピュータシステムや製造機器がウイルス感染したため、週末に多くの工場を閉鎖することを余儀なくされました。

ザイリンクス、Nvidia、クアルコムやAMDなど企業向けチップを製造するTSMCは、世界最大の半導体製造専業企業です。

工場の電源が断続的に落ちる

TSMCは、「今回のウイルス感染は、新しいツールへのソフトウェアインストール作業中の操作ミスにより発生しました。その感染したツールが社内のコンピュータネットワークに接続されて、ウイルスが社内に拡がったのです」と声明を出しています。

TSMCはデータ漏洩はなかったと強調しています。記者会見でTSMCは、その新しいソフトウェアツールは隔離されていなかったこと、ウイルス感染チェックを怠っていたと付け加えています。その後、社内ネットワークに接続、未パッチのWindows 7を実行しているシステムにWannaCry亜種が感染し、断続的な再起動を引き起こすこととなりました。

似たようなタイプのランサムウェアが昨年のトップニュースとなりました。ヨーロッパや米国の公的機関を含め、この時は多くのサービスが影響を受け停止しました。

最後の感染は8月3日金曜日に始まりました。感染の度合いは工場やツールによって様々です。TSMCによると、完全復旧は8月6日の見込みです。「驚いただけでなくショックでした」とC・C・ウェイ最高経営責任者はBloomberg経由で記者団に対してコメントしました。「これまでに何万ものツールをインストールしてきましたが、こんなことは初めてです」

TSMCは声明の中で「今回のインシデントにより、出荷の遅延と追加費用が発生すると予想しています。第3四半期の売上高への影響は約3%、粗利益率には約1%の影響が出るでしょう」と述べています。ファイナンシャル・タイムズによると、TSMCの以前の予測では、第3四半期の売上高を8億4,500万~8億5,500億ドルとしていましたが、今回のインシデント対応で2億5,500万ドルはかかるようです。しかしながら、TSMCは、この出荷の遅れを第4四半期には回復することに自信を持っています。

「今回のインシデントはTSMCの顧客の大半に通知しています。私たちは半導体基板の出荷スケジュールは、顧客との緊密な連携の上で管理しています」と声明に出しています。「詳細は数日のうちに顧客に個別に連絡されます」

TSMCは、「今回のセキュリティ欠陥対策を既に取ったこと、より強固なセキュリティ対策を敷くこと」とも述べています。

TSMCは年次報告書で、以前、サイバー攻撃のリスクについて警告していました。曰く、「TSMCは統合インターネットとコンピューティングのセキュリティネットワークを確立してきましたが、それにもかかわらず、製造オペレーションと企業会計のような重要な企業機能をコントロールまたは維持しているコンピューティングシステムが、第三者によるTSMCの社内ネットワークシステムへの不正アクセスや、業務や信用に対する妨害行為のような壊滅的サイバー攻撃から完全に安全だとは保証することはできないのです」

– Data Center Dynamics
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