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進化するデータセンターのハードウェアや物理設計【特集】


この設計では、ラックの背面にある バスバー を介して分配されるDC電源も使用します。このアプローチでは、データセンターがITキット内の複数の電源ユニットを廃止でき、Facebookなどの一枚岩型Webスケールユーザーに対し訴求できます。AC電源を分配し、個々のボックスでDCに整流する代わりに、それを1か所で行います。

Open Rackバージョン1では12V電源を採用し、バージョン2では48V電源も許可されました。これにより、分散型UPSシステムの一種として、ラック内のリチウムイオン電池オプションも追加されました。

その設計は一部のユーザーにとっては過激すぎた為、2016年にLinkedInはOpen19グループを立ち上げ、19インチのパラダイムを壊すことなく大衆向け市場の簡素化を提案しました。Open19ラックは、ハードウェアメーカーが提供する独自のブレードサーバーと同様、簡素化された配電システムと共にケージに分割されています。グループはまた、LinkedInが開発したネットワークスイッチの仕様を共有しました。

 

 

「私たちは21インチのオープンラックを見て、いや、これは19インチのラックに適合する必要があると言った。」と2016年のDCD webscaleイベントでOpen19を創設したYuval Bachar氏はコメントしていました。「 我々はPDU、電源、ラック本体などの一般的な要素のコストを50%削減したいと考えていました。そして実際には65%を達成できました。」

Open19の立ち上げと同時に、LinkedInはMicrosoftに買収されました。MicrosoftはOCPの主要な後援企業であり、AzureクラウドデータセンターでOCP標準機器のビッグユーザーでもありました。マイクロソフトは、ラック内リチウムイオンバッテリーなどのWebスケールテクノロジーをOCPに提供しており、ITキットにローカル電源継続性をもたらすことで既存のUPSを置き換える可能性があります。

 

– Open19

LinkedInの買収完了後、OCPとOpen19は並行で継続され、OCPは巨大なデータセンターに対応し、Open19は、LinkedInのように独自のデータセンターを運営する企業向けの小規模施設での展開を目指しています。最近では、Open19はエッジに焦点を当てています。

ただし、2019年7月に、LinkedInは独自のデータセンターを運用する必要はなくなり、すべての ワークロード を パブリッククラウド に移行することを発表しました。これは明らかに、親会社のMicrosoftが提供するAzureクラウドを使用すれば十分な理屈によるものでした。

また今年、LinkedInは「Open19の技術仕様はOCPに貢献する」と発表しました。OCPとOpen19の仕様は将来マージされる可能性があるようですが、しかしそれはまだ時期尚早です。仮にLinkedInでは不要になったとしても、同グループにはまだ25を超えるメンバーが残っています。

Webスケールの施設に対して、OCPはMicrosoftとFacebookに支援されたOCPラックv3を推進しています。AIと機械学習が要求する電力密度の増加がこれの推進理由になっているようです。

「コンポーネントレベルでは、さまざまなプロセッサとネットワークチップの電力密度が、近い将来空冷冷却能力を超えると見られる。」として、FacebookブログではOCPラック v3を発表しています。「システムレベルでは、AIハードウェアは継続的に高電力密度を加速させるでしょう。」

この新バージョンOCPラックは、ラック内の液体冷却剤を循環させるためのマニホールド、およびキャビネットドア用の熱交換器を標準化することを目的としており、完全に浸漬されたシステムのオプションが含まれています。詳細な仕様はまだ明確ではありませんが、OCPのRack and PowerプロジェクトとAdvanced Cooling Solutionsサブプロジェクトからそれは今後明らかになります。






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