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Digital Realtyの野望【特集】

世界最大のホールセールデータセンター事業者デジタルリアルティは、他のセクターをも支配する野望を抱いている

この話から始めましょう。Digital Realty(以下Digitalと省略)は、世界最大のデータセンター企業です。また、他のメジャーな競合他社が採用するビジネスモデル “データセンターREIT(不動産投資信託)”の創始者でもあります。だから、DCDはそのリーダーであるWilliam A.(Bill)Stein氏へのインタビューを喜んで受け入れました。


Structure Researchの2017年の調査によると、ホールセール・コロケーション分野では、Digitalが市場の20.5%を占め、それに続く3社を合わせたよりも大きなシェアを獲得していました。

この2年間、同社は2017年に78億ドルを投じ、同分野で3位のDuPont Fabros社(シェア6%)を買収しました。

データセンターの負荷がクラウドとエンタープライズ領域の間でシフトするため、範囲をより広げると比較が難しくなります。調査会社Technavio(テクナビオ)のレポートによると、巨大ハイパースケールクラウドプロバイダー2トップのGoogleとAmazon Web Services(AWS)は、データセンタースペースを最も多く保有しているといいます。そして、エンタープライズ市場向けサービスを提供するリテール・コロケーション事業者にフォーカスした調査では、常にEquinix(エクイニクス)が首位とされています。Digitalの収益は約30億ドル、従業員数は1,500名程度ですが、Equinixは40億ドルの売り上げで約7,000名の従業員を抱えています。

「我々は資本コストが最も低く、それが大きなアドバンテージにつながっている」と Stein氏は言います。「我々は1エーカー50万ドルでバージニア北部の400エーカーを取得したが、他社は1エーカーあたり200万ドル以上を支払っている」

ただし、Digitalは本質的には不動産会社であり、同社の施設はその両方(クラウドとエンタープライズ)の市場を支えています。世界中で260以上の施設を保有し、3500万平方フィート(約325万㎡)以上のスペースを持ち、時価総額は約350億ドルです。Digitalは、Googleのようなハイパースケーラーや、同社の上位トップ10利用ユーザの一社であるEquinixのようなリテール(小売)事業者らに、Build To Suit : BTS型施設 あるいは パワードシェルデータセンター(または「パワードビルディング」ともいう)を提供します。

一歩先を行く

2004年、プライベートエクイティ会社のFI Partnersは、データセンターREITの概念を作り出しました。倒産オークションで購入した21の施設を確保し、それらを管理するためにDigital Realtyを立ち上げ、株式市場に上場させました。Bill Stein氏はFIからDigitalに加わり、最高財務責任者および最高投資責任者の役職を経て、2014年にCEOに就任しました。

– shutterstock

データセンターは、オフィス、小売、工業といった伝統的にメジャーな「食品群(伝統的資産)」のそばで、REIT”の中でも依然としてニッチな”代替資産 (オルタナティブ資産) ”カテゴリであると考えられている、とStein氏は言います。しかし、同社はす全REITランキング中のトップ10に入っており、Stein氏は代替資産カテゴリで初のエグゼクティブであり、業界団体Nareitの議長も務めています。

一方、Equinixを含む他の大手企業はREITとして再編し、そしてDigitalは構築と買収を押し進めています。「我々は商業用不動産とテクノロジーのハイブリッド企業である。」と Stein氏は言います。

データセンターの構築事業において、Digitalの強みは同社の不動産のルーツから来ていると Stein氏は言います。「我々は最も効率的なサプライチェーンを持っている。」とStein氏。「また、これらの施設を構築するためのマスタープランも持っており、モジュール性もあります。」

「我々は資本コストが最も低く、それが大きなアドバンテージにつながっている。」と、Digitalの信用格付(FitchでBBB)とCyrusOneおよびEquinix(両社ともBBB-)を誇らしげに比較しています。このことが、主要な地域での土地の備蓄につながっている、と彼は言います。「我々はバージニア州北部の400エーカーをエーカーあたり50万ドルで取得したが、他社はエーカーあたり200万ドル以上も支払っているんですよ。」

「発電機を25%で購入することはできないが、それだけの土地を確保して倉庫に保管することはできるんです。」

その結果、Digitalにはアッシュバーンに素晴らしいキャンパスを持つことができ、100MWのBuilding Lが、用地の状態からシェル段階まで様々な状態の建物に沿って建っており、可能な限り迅速にハイパースケール顧客に容量を提供することを目指しています。

これが計画の出番です。Digitalはパイプラインに十分なプロジェクトを抱えており、建設会社やインフラ事業者らを忙しくしておくことができます。「あるプロジェクトが終了したら、すぐに別のプロジェクトに移動できる。そこが重要なんです。しばらく停止しなければならない場合、コストがかかってしまいます。」

アッシュバーンキャンパスの請負業者は、何年もの間、連続した建物で作業を行っていたかもしれませんが、Stein氏はこれ以上のものを見ています。

「彼らはラウドン郡の土地を使い果たしている。」とStein氏は見ています。

一部の事業者は、新しいバージニアビーチの陸揚局から供給されるリッチモンドの100マイル南の新たなホットスポットを売り込んでいますが、ワシントンのハブの近くの土地を購入し続けられるDigitalの能力が、指針を与えるだろう、と彼は考えているようです。「リッチモンドは可用性には遠すぎる。」と、マナッサス(ワシントンとラウドンから30マイル)が、バージニア州北部に続く次のホットマーケットになるだろう、と彼は予測します。

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