2023年のデータセンターの消費電力は米国内の4.4%、2028年には12%に達する可能性 〜DOE
「米国データセンターの電力消費量は現在加速度的に増加している」と、LBNLレポートでも言及
長年にわたる効率改善やクラウドへの移行は、データセンターの電力使用量を比較的安定させていたが、この業界では消費量が今後急増する見込みであるようです。
米国議会が義務づけたエネルギー省(DOE)の報告書によると、2023年のデータセンターの電力消費量は米国全体の約4.4%に上るとのことです。
これは、2028年には、低めの予測では6.7%とされている一方、12%にまで増加する可能性があるとしています。
なお、ローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)は、2016年と、2007年の報告書において同様の調査結果を報告しています。
LBNLのArman Shehabi氏を含む研究者らは、データセンターのエネルギー使用量は2014年から2016年の間、約60TWhでかなり安定していたことを確認しました。しかしその後、AIサーバーがデータセンターである程度の規模で使用され始めると、2018年に米国の総電力消費量の1.9%に相当する約76TWhを消費しました。
AIの導入が増え続ける中、米国のデータセンターのエネルギー消費は増加の一途をたどり、2023年には米国の総電力消費量の4.4パーセントに相当する 176TWhに達しました。
ここから先は予測の領域に入ります。研究者らは、建設データ、GPU出荷予測、冷却技術のタイプ、さらにその他の要因に基づき、2028年の消費予測シナリオの範囲を概説しました。
米国のデータセンターの電力消費量は、現在加速度的に増加しています。同レポートでは、2014年から2018年までの年平均増加率は約7%であったが、2018年から2023年の間に18%に増加し、2023年から2028年の間には13〜27%になるだろうと予測しています。
しかし、LBNLは、現在のデータセンターの電力消費量に関する見解は、同セクターにおける透明性の欠如のため推定に基づくものであり、その予測も同様に限られたデータに基づくものであるとしています。また、AIサーバーの成長を予測できなかったため、2018年のデータセンターの電力使用量は、2016年の報告書で予測されたどのシナリオよりも高かったとしています。
「アクセラレーションサーバーの最近の急速な成長により、現在のデータセンターの総エネルギー需要は2017年から2023年の間に2倍以上に増加しており、AIサービス用途のアクセラレーションサーバーの使用が継続的に増加すると、この10年の終わり頃までにさらに大幅な増加を引き起こす可能性がある」と報告書は述べています。
さらに、こうも付け加えています: 「2028年以降を考えた場合、現在のデータセンターの電力需要の急増は、電気自動車の導入、製造業のオンショアリング、水素の利用、産業やビル電化の組み合わせに伴い、今後数十年にわたって予想されるはるかに大きな電力需要との関連で考える必要がある」
「研究イニシアチブは、データセンターの将来のエネルギー需要を満たすための戦略を特定するだけでなく、利害関係者がこのデータセンターの比較的短期的な電力需要を、経済全体の電力インフラ拡大のためのリーダーシップと基盤を開発する機会として利用するのを助けるためにも必要である」
その他の研究では、データセンターの電力使用量がさらに増加する可能性も示唆されていますが、それは引き続き起こりうるだろう、と報告書は警笛を鳴らしています: 「最も極端なケースでは、電気インフラに大きなストレスを与えることになるため、これらの予測を頭から否定すべきではない」
水の使用に関しては、データセンターは2014年に212億リットルの水を消費しました。これが2023年には660億リットルに達し、その84%がハイパースケールデータセンターに使用されました。ハイパースケーラーだけでも、2028年には600億リットルから1240億リットルを消費すると予想されています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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