データセンター/ サーバ室技術ガイドブック【特集】④

【第4部: 冷却編その3~CFD解析

今回はコンテンツの一部ダイジェストとして、[冷却編その2]を掲載します。第一部はこちら、第二部はこちら、 第三部はこちら からご覧ください。

省電力化シナリオ

データセンターでは、設備電力の多くを占めるのは空調装置など冷却に要する 電力です。空調機の送風効率化、熱源の効率化など、冷却の効率を改善することが、データセンター設備全体の省電力化を実現するために最も重要なポイントとなります。

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ICT機器毎の発熱量の違いにより、サーバ室内では局所的な高温状態、「ホット スポット(熱溜り)」が発生することがあり、ホットスポットが発生した場合でもICT機器への給気温度を適正範囲内に維持するため、空調装置の台数や容量を増やしたり、空調機の吹出設定温度を低く設定することが見受けられ、結果として多くの電力、無駄なエネルギーを消費することになっていることがあります。このため、空調装置の効率を改善するためにまず考えなくてはならないのは、このホットスポットの解消です。

サーバ室内のエアーフローを改善し、ICT機器への給気温度分布の均等化を図ることでホットスポットを解消することができます。 温度分布の均等化により空調吹出温度を上げることができ、空調装置の消費電力を抑え、省電力化につながります。

サーバ室での温度分布例(平面図)- JDCC
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温度分布

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では、温度分布の均等化を図るにはどのようにすればよいでしょうか?

サーバなどのICT機器の発熱量には動的にバラツキがあります。

ICT機器への給気温度は適切な温度範囲に入っている必要があり、一般的に、米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE: The American Society of Heating, Refrigeration and Air-conditioning Engineers)が定めた推奨温度範囲が用いられています。これを越える範囲が、
① 低温度の場合は「過冷却」
② 高温度の場合は「冷却不足」

となります。

その問題を解消するには、

「過冷却」の場合は、空調吹出し温度の設定を上げ、「冷却不足」の場合は、空調吹出し温度の設定を下げる必要があります。

ただし、フロア条件によってはバラツキが大きく、設定を変更した際に温度範囲からの逸脱が起きることがあるので注意が必要です。

そのため、エアーフロー対策により、バラツキを抑える(分散(σ)を小さく)し、空調吹出し温度の設定変更を容易にしておく必要もあります。

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サーバ室の省エネルギー化の進め方

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サーバ室の省エネルギー化の進め方は以下のように、まず測定器(センサー)などにより、実際の温度を可視化し、更にはCFD解析により実測値とのギャップを分析し、現状を正確に把握します。

続いて、現状把握の結果をもとに、仮説を立案し、そして改善施策案を策定します。次に改善施策案に対して、CFD解析を行い、改善施策案が適切であるかのシミュレーションが望ましいです。

CFD解析の結果により、改善施策案が適切であると判断できたら、そこでようやく現場で実際の改善施策を実施します。最後に効果測定を行うことも重要です。

実測/CFDとのギャップ分析例

以下の図は、実測値とCFD解析結果とのギャップの例を表しています。CFDは施設・設備現況図面より実施しており、ギャップは、現況が正しく図面などに反映されていない、現行化がなされていないことが多数です。そこで、ギャップの原因となり得る設備、装置の現行化を行うことが重要です。

実測(上図)とCFDでの解析結果(下図) -JDCC

効果のシミュレーション

以下の図は、CFDシミュレーション上で、対策前の状態と、改善施策の対策を施した後の状態の変化を示しています。このようなシミュレーションをおこなうことにより、机上であらかじめ費用対効果を検証でき、適切な対策を打つことができるようになります。

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(次回へ続く)

次回は、サーバ室技術ガイドブック コラボ企画の最終回コンテンツを掲載します。最後までお楽しみください。


2019年6月10日の JDCC総会に併せ、JDCC10周年記念出版

【総監修】

JDCC運営委員長/GUTP 代表
東京大学大学院 教授 江崎 浩

【監修】

JDCC運営委員(サーバ室技術ガイドブックWG リーダ)
尾西 弘之
株式会社大谷技術士事務所 大谷 淳一

データセンター/サーバ室技術ガイドブック
データセンター/サーバ室技術ガイドブック -JDCC

詳しくは、「データセンター サーバ室技術ガイドブック」をご覧ください。


JDCC/GUTP共同ワーキンググループ / サーバ室技術ガイドブックWG

補足解説記載:DC ASIA