日本に進出する外資系データセンターまとめ記事2022~2023【特集】
2022~2023年にどのような外資データセンター企業が日本に進出してきたのか?
ちょうど2年前の2020年6月に、「日本に続々と進出する外資系ハイパースケールデータセンター」というまとめ記事をアップさせていただきました。その当時も続々と外資系DC企業の参入や新規オープンのニュースが相次いでいましたが、2年後の現在では、その勢いがさらに加速していると感じられます。
ちなみに、調査会社Knight Frankの最新レポートによると、東京のデータセンター市場規模は「2,575MW」と評価されており、APAC地域の需要をけん引しているとされています。
そこで、今回は改めて最新の情報をお伝えするため、直近の外資参入状況を最新から順に振り返ってみたいと思います。
CyrusOne ~関西電力との合弁で900MWのポートフォリオを計画
【2023年5月:関西地区、他/合計900MW(計画発表)】
最も新しい外資DC企業の国内進出ニュースといえば、今週、米国の大手データセンター事業者CyrusOneが関西電力株式会社(KEPCO)との合弁会社「関西電力サイラスワン株式会社(CyrusOne KEP)」を設立し、今後10年間で少なくとも1兆円(70億ドル)を投じ、900MWの施設建設計画を発表したものになります。
NextDC ~東京に国内初となるデータセンターを計画中
【2023年5月:東京/?MW(計画発表)】
同じく今月、オーストラリアの大手事業者であるNextDCも、同社のウェブサイト上に、日本初進出となる東京でのデータセンター計画を公表しました。このデータセンターは「TK1」とすでに命名されていますが、データセンター施設の詳細についてはまだ明らかにされていません。
ColtDCS ~京阪奈DC開設、印西第4DCの建設計画を発表
【2023年4月:印西/20MW(計画発表)】
ColtDCSは長きにわたり国内で展開している外資系DC企業の一社です。2年前のまとめ記事の時点(2020年)では、同社はちょうど印西第3データセンターを開設したばかりでしたが、今回はそれに続く動きとして、印西第4データセンター(2024年末に一期工事は完了予定)の建設計画を発表しました。
【2023年3月:大阪京阪奈/45MW(開設)】
国内での事業拡大を進める同社は、他にも2023年3月に45MWのハイパースケールデータセンター 「Colt京阪奈データセンター」を大阪京阪奈地区に開設しています。
尚、京阪奈DCと印西4DCの2件については、フィデリティ投信(ColtDCSはフィデリティ傘下)と三井物産がハイパースケールデータセンターを構築する目的で設立した合弁会社によるプロジェクトとなっています。
Google ~印西に同社初の自社開発DCを開設
【2023年4月:印西/?MW(開設)】
Googleはすでに日本国内でデータセンターを展開していましたが、それらは他社DCでのテナント利用でした。しかしついに満を持して、Googleとしては日本初となる自社開発データセンターを2023年4月に千葉県印西市に開設しました。
Digital Edge ~ヒューリックと共同で東京都心に新DC開設
【2023年3月:東京日本橋/?MW(計画発表)】
2020年に設立された新興DC企業のDigital Edgeは、設立後まもなく日本国内でのデータセンター買収や新規建設を行ってきましたが、2023年3月には、大手不動産会社のヒューリック株式会社と共同で、東京都心にキャリアニュートラルなデータセンター施設「TYO7」を開発・運営すると発表しました。
TYO7は地下1階、地上8階建てで完成は2025年予定とのことです。
AirTrunk ~TOK2第2期建設工事
【2023年2月:東京西部/110MW(着工)】
オーストラリアを拠点とするデータセンター企業のAirTrunkも、印西の既存DC「TOK1」に続き、東京西部の「TOK2」データセンターの第二期拡張工事を開始しました。
110MW のTOK2は、印西の既存「TOK1」DCと合わせて410MWを超える合計容量を有することになります。
MCデジタル・リアルティ ~印西NRT12着工、大阪KIX13開設
【2023年2月:大阪/21MW(開設)】
三菱商事とDigital Realtyの合弁会社であるMCデジタル・リアルティは、大阪「KIX キャンパス」で 4番目のデータセンターとなる「KIX13」を開設しました。
同社は、2017年に国内初となる8MWの「KIX10」を開設し、その後2019年に25MW「KIX11」、2021年には東京の新データセンター「NRT10」と並び3施設目の「KIX12」を開設しています。
【2022年11月:印西/36MW(着工)】
また、2022年10月には首都圏4棟目となる「NRT12」の着工を発表しています。
Stack ~72MWの大阪DCキャンパス建設でESRと提携
【2022年1月:印西/36MW(着工)】
グローバルにデータセンターを展開するStack Infrastructureは2021年10月にAPAC地域への進出計画を発表し、その後2022年1月に、印西で36MWのキャンパスの開発を開始しました。
【2022年12月:大阪京阪奈/72MW(計画発表)】
さらに同年2022年12月には、ESR Groupとの提携を発表し、大阪東部郊外のけいはんなに72MW規模のデータセンターを共同開発する合弁会社の設立を発表しました。
全3棟のうち最初の1棟は2023年第4四半期に着工し、2025年第2四半期に竣工予定とのことです。
エクイニクス ~東京15番目のIBXデータセンター「TY15」
【2022年11月:東京港区/?MW(計画発表)】
日本国内に既に多くのフットプリントを有するエクイニクスは、2022年11月に東京15番目のIBXデータセンターとなる「TY15」の計画を発表しました。
TY15は、2024年後半の開設が予定されており、第1フェーズではおよそ1,200キャビネット、最終的には3,700キャビネットのキャパシティが提供される予定です。
ESR ~大阪で19.2MWのデータセンター
【2022年11月:大阪/19.2MW(着工)】
アジアの不動産企業であるESR Groupも日本市場に参入し、2022年11月に大阪で19.2MWのデータセンター「OS1(南港データセンター)」の建設に着工しました。OS1は2024年7月に完成が予定されています。尚、OS2、OS3と拡張が計画されているサイト全体では、最終的に96MWとなる計画とされています。
【2022年4月:東京/20MW(計画発表)】
ESRは日本国内では他にも、長崎にリゾートとデータセンターの複合施設を、東京に20MWのデータセンターを新たに建設する計画を有しています。
PDG ~100MWのさいたまDCキャンパス
【2022年6月:さいたま/100MW(着工)】
オーストラリアに本社を置く不動産インフラ大手のレンドリース、そしてシンガポールを拠点とするプリンストン・デジタル・グループ(Princeton Digital Group:PDG)は2022年6月、さいたま市内で、100MWのデータセンター・キャンパスの建設に着手しました。
施工は鹿島建設株式会社、設計は株式会社日建設計が担当します。第一期工事は2024年に完了する予定です。
GLP ~データセンター市場に参入、900MWを目指す
【2022年2月:未定/合計900MW(計画発表)】
2022年2月には、物流施設の開発・運営大手の日本GLP株式会社が、日本最大のデータセンターサービスプロバイダーを目指すとして、データセンター事業に本格参入すると発表しました。
日本GLPでは、データセンター事業を物流不動産事業に並ぶ事業の新たな柱とするべく、用地および必要電力の追加確保を含め、今後1兆円以上の投資を予定しています。そして2027~2028年ごろには、電力キャパシティ900MWの供給能力を目指す計画を立てているようです。
STT GDC ~印西にデータセンター2棟、最大60MW
【2021年10月:印西/60MW(計画発表)】
2021年10月、シンガポールのデータセンター運営大手、ST Telemedia Global Data Centres(STT GDC)は、総合不動産グループのグッドマンが千葉県に開発する建屋を貸借し、新設データセンター2棟を開設する計画を発表しました。総床面積60,000平方メートル、最大60MWのIT負荷能力を持つ2棟のデータセンター(STT Tokyo 1 & 2)は現在建設が進められており、1棟目は2024年第2四半期にサービスが開始される予定です。
Vantage ~大阪DC2棟と東京DC合計で80MWを構築中
【2021年9月:大阪x2+東京/合計80MW(計画発表)】
ハイパースケールデータセンターキャンパスの世界的なリーディングプロバイダーVantageは、2021年9月に東京、大阪、メルボルンで合計170MWのハイパースケールキャンパスを開発しているデータセンタープロバイダーAgile Data Centersを買収し、アジア太平洋地域への進出を始めました。
現在、大阪では4階建てのデータセンター2棟(合計40MW)の建設を進めており、第1フェーズの5MWは2024年第2四半期の完成が予定されています。同時に、東京キャンパスの第1フェーズも2024年第2四半期の完成予定であり、完成後はデータセンター3棟合計で80MWの容量を持つことになります。
MIT ~大阪の新設DCを取得し日本市場へ参入【2023/5/26追加】
【2022年12月:大阪/10MW(竣工)?】
そして今週もうひとつ、Mapletree Industrial Trust (MIT)の管理会社であるMapletree Industrial Trust Management Ltd.が、須磨特定目的会社から大阪の新設データセンターを取得したとの発表がありました。
敷地面積4,200平方メートル、延床面積13,330平方メートル、賃貸可能面積12,720平方メートル、容量10MWと報告されているこのデータセンターは、その面積規模を見る限り、大阪北区の旧トーハン跡地にSKYY Developmentが構築(設計施工:大林組)し、2022年12月に竣工した「須磨データセンター」とほぼ同一のようです。
…ということで、2022~2023にかけての動きを時間軸に沿ってまとめてみましたが、結構な数の外資系データセンターの建設が相次いでいることが改めてわかりました。(しかもすべて東京圏と大阪圏に集中)
今後もさらなる外資系企業の参入が噂されています。国内のDC企業も外資に負けず頑張ってほしいと切に願っています。
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