データセンター/ サーバ室技術ガイドブック【特集】③
【第3部:コンテンツの一例 冷却編その2~エアフロー】
今回はコンテンツの一部ダイジェストとして、[冷却編その2]を掲載します。第一部はこちら、第二部はこちらからご覧ください。
サーバ室内でのエアーフロー
前回第二部の記事でも触れたように、ICT機器の冷却はICT機器の発熱を送風により「抜く」方式です。サーバ室内では、室内空調装置からの送風をICT機器に給気し、ICT機器からの排気を空調装置において循環させています。サーバ室内のエアフロー管理はICT機器の温度上昇を抑え、安全な動作環境を保証する為に非常に重要な考慮事項です。特に近年のICT機器の高密度化・高発熱化に伴い、従来よりもよりシビアなエアフロー管理が求められるようになってきています。
以下に挙げる適切なエアフローを妨げる要素を取り除き、できるだけ低損失にすることで、空調装置の送風効率を上げることができるようになります。
- 床下、天井裏エアーフローの確保( 二重床 <あるいは フリーアクセスフロア >床下にて室内空調装置から送風、天井裏にて還流している場合)
- 床下のケーブルの平坦化、不要物・残置物などの排除
- サーバラック前面での給気の確保(張り紙の禁止など)
- サーバ背面での排気の確保(ケーブルの整線など)
尚、エアフローを改善するにあたり、検討すべき改善ポイント・箇所は以下のとおりです。
- サーバラックの配置
- サーバラック
- サーバラック周辺
- サーバラックの排気
バイパス・回り込みとは
室内空調装置からの送風(冷気)のうち、ICT機器に給気されず、空調装置に還気される風流を「バイパス(By-Pass)」と呼び、ICT機器からの排気(暖気)がICT機器の給気に再循環することを「回り込み(Re-Circulation)」と呼びます。尚、日本国内ではこれらを総称して「ショートサーキット」と呼ぶことが多いです。
問題と対策
エアフローの回り込み現象は、ラックの側面と上部で発生します。回り込みは主にラック内に空気漏れを防ぐブランクパネルが取り付けられていない場合や、アイルコンテインメントが存在しない場合に発生します。
エアフローの回り込みが起きた場合、ICT機器の給気温度が上昇し、ICT機器の温度上昇を招くことから、回り込みは回避しなければなりません。この部分的な給気温度の上昇現象はホットスポット(あるいは熱だまり)と呼ばれます。
その他の注意点
レイアウト上空調装置に近い位置に配置されたラックへの給気は低風量で不足がちになってしまいます。その場合は、例えばファン付床開口パネルを設置し、床下の冷気を強制的に供給するといった対策があります。ただし、ファン付床開口パネルを設置する場合は床下エアフローへの配慮、および電源の確保が必要になります。
空調機からの距離にもよりますが、一般的にラック列の中央部分がエアフローの面では最適な場所であると言えます。もし、設備側で適切な調整が難しい場合は、発熱量が多いサーバあるいは稼働率が高いサーバを優先的にラック列の中央に置くといったICT機器の配置で対策を取る必要も出てきます。
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