CBRE:米国でデータセンターの供給過剰による価格下落傾向
米国でのデータセンター建設の急増により、借地料が下落し、各自治体も誘致獲得のためには賄賂さえ使わざるを得ない状況であると、不動産コンサルタントCBRE は北米市場に関する定期調査レポートで報告しています。
昨年のAmazon、Google、Microsoftなどの巨大クラウド企業への記録的な売り上げに業界全体が興奮し、CBREレポートの数値によると、米国のデータセンター事業者は、データセンターの建設数を2倍にしました。データセンター事業に注力している地区では、昨年のコンピューティング能力の2倍の容量を持つ施設が構築されています。そして、過剰供給による価格の下落が既に始まっています。
「ハイパースケールのクラウド需要は、過剰供給を吸収するのか?」に関するレポートでCBREは次のような内容を解説しています。「自治体は今後も需要を競い合うのか?プロバイダーはどのようにしてテナントを引き付けるのか?」
「建設中の追加容量は、データセンターの市場価格を引き下げ続ける。」と、CBREデータセンターソリューションのシニアマネージングディレクターである Pat Lynch氏は、記者会見で述べました。
データセンター事業者は、記録的な建設ラッシュにもかかわらず、今年は昨年よりもわずかに売り上げを伸ばすだけでしょう。記録的な供給量が記録的な需要を上回ったため、価格は昨年対比で5%近く下落しました。特に、 ノースバージニア、シリコンバレー、ダラスフォートワースなどのデータセンターの過熱地域はすべて、昨年の2倍の規模で施設が建設されていました。全体としてみると、主要都市ではおよそ411 MWが現在建設中です。尚、昨年の販売実績はおよそ300 MWでした。
今年の上半期には、事業者はさらに200 MWの容量を供給し、171 MWを販売しましたが、昨年の販売量の半分を少し超えた程度です。
Lynch氏は、事業者は価格だけではもはや競争できないと述べています。顧客は、より良いネットワーク接続や柔軟な条件を期待しています。
CBREレポートのチャートでは、米国の主要都市における大規模施設の最近の歴史を記しています。ダラスでは2015年以降、180%のコンピューティング能力を構築しました。ノースバージニア州では、140%増加しました。シリコンバレーとシカゴは、容量が2倍になりました。フェニックスは66%増。アトランタとニューヨーク市も大幅に成長しました。
2019年上半期に米国内で販売された10のデータセンター全体の2/3(66%)を占めたのは、 世界最大のデータセンター市場である米ノースバージニア州でした。アリゾナ州フェニックスは全体の16%と次に多くのデータセンターが建設された場所でした。
CBREによると、バージニア北部は、2019年上半期に販売された10のデータセンター容量の74%を占めています。ヒューストンが次に続いていますが、詳細は明言されていません。しかし、3番目のシリコンバレーは13.7 MWしか売れていません。ダラスは11.2 MWでした。
Data Center Dynamics
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