
日立エナジーが米国の電力インフラ製造に10億ドル投資へ
データセンターの電力需要増に対応、新たな変圧器工場に4億7500万ドルを投入
日立エナジーは、AIデータセンター分野の電力需要増加に対応するため、米国における電力インフラ製造体制の拡充に向けて10億ドルの投資を行うと発表しました。
このうち4億7500万ドルは、バージニア州サウスボストンに新設される大型変圧器製造施設の建設に充てられます。この施設が完成すれば、米国最大の大型変圧器製造拠点となる予定で、2025年中に着工し、2028年の操業開始を目指しています。
新施設は日立の既存キャンパスに隣接して建設され、地域に825人以上の雇用を創出するとされています。また、新施設の建設にあたっては、「トランプ政権、ヤンキン州知事、バージニア州議会、そして同州の連邦議会代表団」の支援があったことを強調しました。
日立エナジーのCEOであるAndreas Schierenbeckは、次のように述べました。「変圧器は、強固で信頼性の高い電力網、そしてAI競争に勝つための要となる技術です。米国内での大型変圧器の製造は、強固な国内サプライチェーンの構築と、製造のボトルネック解消に不可欠です。」
さらに同社は、ペンシルベニア州ピッツバーグ近郊にある遮断器・開閉装置の製造拠点も拡張する予定です。今回の投資は、世界的に進める90億ドル規模のエネルギー・製造能力拡張計画の一環であり、米国市場へのコミットメントの一部として、ホワイトハウスから新たな電力部品製造プロジェクトの迅速な承認を得ています。
変圧器は電力の送配電において重要な役割を果たしており、交流電圧の昇降に使用されます。今回の投資は、同CEOが昨年「変圧器の供給網は逼迫しており、世界の重要インフラプロジェクトの需要に応えられない」と警告したことを受けたものです。
変圧器市場の需要は、2024年の480億ドルから2030年には670億ドルへと急増すると予測されており、その主な要因はデータセンター分野の負荷増加です。現在、大型変圧器の納期は80〜120週間に及び、日立を含む企業は生産能力の拡大を急いでいます。
日立エナジーは、日本の多国籍企業・日立製作所のエネルギー製造部門であり、高電圧機器、変圧器、再生可能エネルギー向けサービスなどを提供しています。
また、日立は米国市場において複数のパートナーシップを締結しており、6月には地域送電事業者Southwest Power Poolと提携し、NVIDIAのAI技術を活用した系統連系影響調査の期間短縮ソリューションの開発を進めています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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