電力、労働力、キャパシティがAIブームを脅かし、データセンターのコストを圧迫

東京とシンガポール、データセンター建設コストが最も高い市場にランクイン

Turner & Townsend(T&T)の最新レポートによると、AIデータセンターのブームは、限られた電力供給とサプライチェーンの能力によって脅かされているようです。

この業界において、電力問題は新しい問題ではありません。T&Tが主導した調査では、回答者の92%が、投資を検討するにあたっては、立地よりも電力供給が重要であると回答したとのことです。

さらに深刻なのは、調査対象の68.4%の企業にとって、エネルギー消費と効率が最大の関心事となっていることです。

世界的な需要が、電力、労働力、生産能力を上回るなか、市場の価格は上昇の一途をたどっています。T&Tの調査によると、回答者の57%が、コストは5〜15%上昇したと答えています。

東京は2年連続で最も高価な市場となり、1ワット当たり14.30ドルとなっています。労働力不足がデータセンターの成長に影響を与えているほか、時間外労働に関する新しい法律が導入されたことで、納品に負担がかかっています。

2位のシンガポールは1ワット当たり13.80ドルで、電力制約が最大の懸念事項となっています。

その後、チューリッヒ、シリコンバレー、ニュージャージーが僅差で続きます。ナイジェリアのラゴスは6位でした。同国は必ずしも電力やスペースに窮しているわけではありませんが、人件費や材料費が投資コストを押し上げ続けています。

スカンジナビアでは、データセンターのパイプラインが引き続き有望視されています。しかし、国際的なサプライチェーンや輸入人材への依存度が高いため、コスト面では厳しい影響が出始めています。加えて、データセンター開発業者が参入してくるハイパースケーラーとリソースを奪い合うため、サプライチェーンの専門知識をめぐる競争は激化する見通しです。

同レポートによると、ロンドンが10位にランクインしており、 特に政府がデータセンターを重要な国家インフラと位置づけたことを受け、 英国は今後注目すべき市場になるだろうとのことです。

T&Tのデータセンター部門責任者、Lisa Duignanは、次のようの述べました。「データセンターは、政府によって重要な国家インフラと見なされるようになってきており、クライアントにとって大きなチャンスがあることは明らかです。しかし、電力供給や労働力不足など、増大する課題に対処する必要があります。」

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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