
一部のAmazonデータセンターは光熱費を削減している -Amazon委託の報告書が主張
調査対象のデータセンターは全て自らのコストを賄っている
Amazonのデータセンターはコストを賄う十分な収益を生み出しており、場合によっては他の料金負担者の光熱費をも削減していると、Energy + Environmental Economics(E3)の報告書は明らかにしました。
Amazonの委託を受けたE3の報告書は、特定Amazonデータセンターの公益事業への影響と、データセンターからの増加する負荷に対応するための電力料金設計方法を分析しました。
このエネルギーコンサルティング会社は、既存の料金設計が料金支払者をコスト上昇から保護しているか否かの観点から検討しました。
E3の事例研究では、調査対象のデータセンターが「他の料金支払者にコスト負担を強いるのではなく、むしろ利益をもたらしている」と結論づけました。
E3によれば、調査対象のAmazonデータセンターは2025年に3万3000ドル/MWの余剰価値を生み出すと予測されています。
報告書は「典型的なデータセンターが100MWと仮定すると、これは1施設あたり340万ドルの価値に相当し、電力会社が他の料金支払者の料金引き下げに活用できる」と説明しています。
この報告書は、これらの調査結果は、データセンターが他の公益事業顧客から助成を受けていないこと、また、既存の料金政策が「個々のデータセンター単位でのコストシフトを効果的に防止している」ことを示している、と主張しています。
E3 のケーススタディは、4 つの公益事業エリア(Pacific Gas & Electric(カリフォルニア州)、Umatilla Electric Cooperative(オレゴン州)、Dominion Energy(バージニア州)、Entergy(ミシシッピ州))を対象としています。このケーススタディでは、Amazon のデータセンターからの予想公益事業収益と、施設にサービスを提供するための推定公益事業コストを比較しました。
グリッドの近代化
E3 の報告書は、Amazon がグリッドの近代化に貢献している多くの分野も特定しています。例えば、バルディ・メサの太陽光発電およびバッテリー貯蔵施設では、Amazon が開発した機械学習モデルが「バッテリーがエネルギーを充電し、グリッドにエネルギーを放電するのに最適な時間を予測するために使用」されています。
E3報告書を引用した別のブログ記事で、Amazonは自社の投資が「データセンターと周辺地域に電力を供給するエネルギーインフラの近代化を支援している」と述べています。
さらに同社は、世界600件以上の太陽光・風力プロジェクトへの資金提供を通じ、持続可能なエネルギーへの投資を進めているとも述べています。
「Amazonが新たな太陽光パネルや風力発電所への資金提供を行うと、そのエネルギーは地域の家庭、企業、そして当社のデータセンターを含む全ての人々に電力を供給する送電網に追加されます」とブログ記事は説明しています。
「調査対象の4州全体で、約4.2GWの確実なカーボンフリーエネルギーを電力網に供給しています。これは米国の100万世帯以上に電力を供給するのに十分な量です。また小型モジュール型原子炉などの新興技術にも我々は数十億ドルを投資し、データセンター向けに信頼性の高いカーボンフリー電力を提供しています」
Amazonは今後も影響を監視し、事業展開地域におけるコミュニティ支援のためアプローチを適応させていくと述べています。
急成長は依然として電力料金上昇を招く可能性
E3は全ケースにおいてデータセンターがコストを賄っていると報告したものの、この調査結果は昨年バージニア州議会監査審査委員会(JLARC)が作成した独自報告書の知見と一致すると認めました。
同報告書は、負荷の急激な増加が時間の経過とともに既存の料金体系や市場構造に影響を与え、変化するシステムコストに対応するため料金設計やコスト配分方法の変更が必要になると指摘しています。
JLARCは、少なくともバージニア州においては、制約のないデータセンターの成長は、それらに電力を供給するために必要な発電・送電インフラの拡張を「非常に困難」にすると主張していました。
JLARCによれば、新たな発電・送電インフラは、電力インフラ拡張の膨大なコストを賄うために、インフレとは無関係に、2040年までに全顧客のシステムコストを月額14ドルから37ドル増加させる可能性ががあるとのことです。
コンサルティング会社E3の最新報告書では次のように記されています:
「大口顧客が他者のコストを増加させた前例はないものの、急速な負荷増加の累積的影響は、既存の料金体系と市場構造を時間をかけて試すことになる」
「マクロレベルでの需要成長が最も速い市場では、料金設計とコスト配分手法は、変化するシステムコストに追いつくため、より迅速に進化する必要がある。これは、料金設計やコスト配分(特に施設レベル)に関連する狭義の問題ではなく、より広範な政策・社会課題である」
報告書は結論として次のように述べています:
「最終的には、更新された料金体系、透明性のあるコスト回収、市場設計・計画・契約への新たなアプローチを通じた継続的なイノベーションが、公益事業体と市場が需要増加に対応しつつ、全ての顧客にとって公平な結果を維持するための鍵となるだろう」
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
















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