ルネサスの半導体工場で火災、チップ生産に影響を与える

クリーンルームが5時間延焼。幸い死傷者はゼロ。出火原因は不明

2021年3月19日、ルネサスエレクトロニクスの半導体工場で火災事故が発生しました。

クリーンルームで発生した火災は、5時間半後に鎮火されました。幸い死傷者はなく、建物のフレームにも損傷はありませんでした。

この火災事故を受けてN3ビルでの300mmウェーハの生産は停止されました。

世界的な半導体不足をさらに悪化

ルネサスエレクトロニクス

3月19日午前2時47分、茨城県ひたちなか市のルネサスエレクトロニクスN3那珂工場1階で火災が発生しました。火災は午前8時12分にようやく鎮火されました。

火災の原因は、メッキ装置の問題と見られており、装置のケーシングとメッキタンクの耐熱性が比較的低く、過電流により装置が発火したとされています。過電流が発生した原因はまだ特定されていません。

純水供給や空調などの、一部のユーティリティ機器も破損しました。火災により工場の製造設備のおよそ2パーセント程度が損傷しました。焼損面積は合計600平方メートル(6,460平方フィート)で、クリーンルーム全体の約5パーセントに相当します。

「近隣のみなさま、多くのお客さま、関係先にご心配をおかけしたことを深く謝罪させていただく、大変申し訳ありませんでした。」と同社は述べています。

フランスで起きたOVHデータセンターの全焼事故からわずか数週間後に発生した今回の火災事故は、既に厳しい世界的な半導体不足を更に悪化させるだろうと予想されています。

影響を受けた生産の約3分の2は自動車用チップでした。自動車会社は既に、チップの供給不足の為、工場の稼働を一時停止し、車両の減産を余儀なくされていました。

工場の焼損により少なくとも1ヶ月は生産が停止する見込みとされており、2011年の東北地方太平洋沖地震と津波事故を受けたルネサスの多角化努力により、失われた生産の一部は他の工場で吸収されると予想されます。しかし設備の交換費用に加えて、減産により、同社は月間170億円(1億5600万ドル)相当の損失を見込んでいます。

今年は、米テキサス州の大寒波に起因した停電事故により、サムスンの半導体工場も閉鎖を余儀なくされ、300mmウェーハの生産も影響を受けています。

Data Center Dynamics

原文はこちら

(注:アイキャッチ画像はイメージ図です)

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