伊藤忠商事とCastrol、日本で液冷に関する覚書を締結

両社、空冷からの移行加速に向け提携

日本を代表する総合商社の一つである伊藤忠商事と、そのシステムインテグレーター子会社である伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、日本国内のデータセンターにおける液体冷却技術の普及促進を目的として、Castrolと覚書を締結しました。

本覚書に基づき、Castrolはデータセンター冷却液及び関連技術サービスを提供し、伊藤忠商事は、エネルギー視点からの市場開拓・商流・供給を支援します。伊藤忠テクノソリューションズは、設計・導入・運用に跨るエンドツーエンドのソリューションを提供します。

三社は発表の中で、次のように述べています。「世界的に生成AIと高性能コンピューティングの急速な普及が進み、電力需要が増大するとともにデータセンターに前例のない熱負荷が集中しています。その結果、冷却能力は大きな負担を強いられています。」

「この世界的な変化は現在、日本においても変革をもたらしています。事業者らは、ラック密度向上に対応するため空冷のみのアプローチから脱却しつつ、エンドユーザー効率向上・需要平準化といった国策に沿う方向へ進んでいます。こうした状況下で、絶縁性液体を用いた液冷技術は、発熱源での効率的な熱除去、冷却専用エネルギーの削減、既存スペースでの計算密度向上、空調 設備への負荷軽減など、現実的かつ多面的な課題解決策として注目されています。」

1858年に繊維会社として創業した伊藤忠商事は、1946年に現在の形となり、現在では繊維、機械、金属、化学、食品、ITなどの分野で事業を展開しています。

伊藤忠テクノソリューションズは、1979年にハミルトン/アヴネット・エレクトロニクス・ジャパン株式会社として設立され、1985年に伊藤忠商事が同社を買収、2023年に完全非公開化しました。現在、CTCは、ネットワーク、ソフトウェア、データセンターサービスを提供しており、伊藤忠商事親会社およびその他の子会社の主要 IT パートナーとなっています。

同社ウェブサイトによると、日本国内で横浜(3拠点)、神戸、渋谷、目白坂に6つのデータセンターを運営していますが、2021年に5つのデータセンターをStonepeak傘下のDigital Edgeに売却しており、現在は多くのデータセンターをリースしている可能性があります。

BP傘下のCastrolは、液体冷却液を製造しており、数年前から顧客向けに販売しています。昨年は、英国オックスフォードシャーにある研究開発センターにモジュラー型データセンターを設置し、自社製品の有効性を検証・実証しています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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