香港市場に初めて投入される液浸冷却ソリューション
アジアでクラウドベースソリューションとデータセンターサービスを提供するITサービスプロバイダーOneAsiaは、今年9月から香港のデータセンターで液浸冷却ソリューションを開始することを発表しました。
香港初となるこの新しいソリューションは、データセンターのエネルギー消費量を大幅に削減し、より信頼性の高いパフォーマンスを提供することを目的としています。その後、この技術は大中華圏や東アジア、東南アジアにある同社の他のデータセンターにもサービスを拡大していく予定です。
近年、AI、IoT、機械学習の進歩に加え、コンピューティングパワーとパフォーマンス要件の向上により、サーバーラックの高密度化が進んでおり、特に香港の土地制約が切実な問題になっています。その結果、従来のデータセンターで発生する熱量が急増し、それに伴い冷却システムのエネルギー消費量も大幅に増え、コストも上昇しています。
これに対し、液浸冷却システムは、その信頼性とエネルギー効率、コスト効率で広く認知されています。また、どのような規模のデータセンターにも対応できる拡張性の高さも魅力です。
液浸冷却は、直接液冷とも呼ばれ、特にデータセンターのような高密度環境に適用した場合、従来の空冷方式に比べて大きな利点をもたらす革新的な冷却ソリューションです。OneAsiaによると、非常に高密度なラック(通常30kW以上)を備えた施設では、ITシステムの信頼性を維持するために、どんなに新しく最適化されていても、空冷では十分ではありません。このような施設(多くの施設でラックの電力要件は20kW近くに達しており、多くの組織が50kW以上の要件を持つラックの導入を検討している)では、液冷は選択肢ではなく、必要不可欠なものとなってきています。
液浸冷却では、サーバーが垂直に挿入されるようにラックが特別に設計されています。サーバーを誘電体液槽に入れ、CDUで冷却液を循環させ、熱を奪います。
拡張性だけでなく、液浸冷却システムはより静かな作業環境を提供します。その他にも、信頼性と性能の向上、エネルギー効率の改善、持続可能性、コスト効率の最大化などの利点があります。
Legan Group (OneAsiaの親会社)の創業者で最高経営責任者のチャールズ・リー氏は、次のように述べています。「この液浸冷却ソリューションの導入は、今日ますます厳しくなるITインフラの放熱および電力要件を満たすことができる最高のコロケーション・ソリューションをお客様に提供するための当社の取り組みを示すものです。香港で初めてこのアドオンサービスを提供することで、お客様は運用において最適なエネルギー効率を達成することができます。」
香港の総電力消費量のうち、建築関連は約90%を占めており、世界平均の40%を大きく上回っています。一方、データセンターでは、電力消費量の4%が空調に使用されており、この数字は商業セクターの平均25%よりはるかに高いものです。これらの調査結果は、2025年までにエネルギー強度を40%削減するという香港政府の目標、および地球温暖化を産業革命以前と比較して2℃以下(できれば1.5℃以下)に抑えるというパリ協定の目標を実現する上で、液浸冷却ソリューションなどの導入による空調設備の削減が重要であることを示しています。
Digital Infra Network( Michael Nelson 記者)より抄訳・転載
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