
BroadcomがAnthropicとの提携でAI関連売上が拡大
新たな未公表の「XPU」の新規顧客を予告
BroadcomのカスタムチップおよびAI関連事業は引き続き急成長しており、同社はAI企業Anthropicとの大規模なチップ契約と事業拡大、さらに名称非公開の新規顧客の獲得を発表しました。また、Broadcomは最新の会計年度を終えた時点で、AI関連の受注残高が730億ドルに達しているとしています。
BroadcomのCEOであるHock Tanは、最新の決算説明会で、今年初めに100億ドル規模のカスタムチップ契約を結んだ「名前非公開の顧客」がAnthropicであったことを投資家に明らかにしました。この契約は、当初OpenAIとの取引ではないかと噂されていましたが、実際にはAnthropicがGoogleの最新鋭TPU(Tensor Processing Unit)Ironwoodを購入するためのもので、これはBrodcomが設計・販売しています。
さらにAnthropicは、来年後半に納品予定の110億ドル規模の追加注文も行ったとHock TanCEOは述べています。このAnthropicとの契約は、AnthropicがGoogleとの取引で得ているものと同様の「システム販売」であると説明しました。
さらに同氏は、「これは、本物のシステム販売です。我々はXPUだけでなく、カスタムアクセラレーターなど、ハイパースケーラーが使用するAIシステムに必要な多くのコンポーネントを提供しています。だからこそ、システム全体として販売し、責任を持つことが理にかなっているのです。この顧客には、主要コンポーネントを含むシステムとして販売しており、これは当社が認証したチップをプロセス全体の一部として最終的に実行できるようにして販売しているため、単なるチップ販売と何ら変わりません」と述べました。
また、Broadcomが「2026年末納品予定の10億ドル規模の注文を通じて、5番目のXPU顧客を獲得した」と発表しましたが、その顧客がOpenAIかどうかという質問には答えませんでした。
「これは5番目の顧客で、実在する顧客です。そして今後さらに成長します。彼らは独自のXPUを目指す数年にわたる取り組みを進めています。それ以上は言いません。」
また、Broadcomが最近OpenAIと締結したカスタムAIハードウェアの共同開発契約についても、「我々の進む方向性を一致させるための合意」であり、その成果は2027年から現れ始めると付け加えました。
AIブームは続く
BroadcomのAI事業も引き続き好調で、同社は最新の会計年度を終えた時点で、AI関連の受注残高が730億ドルに達していると発表しました。Tan氏によると、これには「XPU、スイッチ、DSP、AIデータセンター向けレーザーなど、今後18か月以内に出荷予定の製品」が含まれています。
「もちろん、これは現時点での数字です。今後18か月間でさらに受注が増えると完全に予想していますので、この730億ドルがこの18か月の期間に出荷される売上だと考えないでください。現在の受注は加速しており、正直なところ、過去3か月間に見られた受注の規模は、XPUだけでなく、スイッチ、DSP、AIデータセンターに必要なその他のコンポーネントにおいても、これまでにないもの」と同氏は補足しました。
さらに、最近発表されたTomahawk 6スイッチプラットフォームへの強い関心が続いていることも強調しました。
「これは、我々がこれまでに展開したスイッチ製品の中で、導入のスピードという点で最も急成長している製品の一つです。非常に興味深いのは、現時点で唯一の製品であることです。102TB/秒という性能を持ち、最新のGPUやXPUクラスタを拡張するためにまさに必要とされる製品なのです」とTan氏は述べました。
VMwareは依然として「成長の牽引役」
チップとAIが会話の中心となる中、Tan氏はBroadcomのVMware部門が引き続き事業の成長を牽引していることにも言及しました。
同氏は、Broadcomの通期売上高が前年比24%増の640億ドルという過去最高を記録した背景に、VMwareの貢献があると強調しました。特にVMwareが属するインフラソフトウェア事業では、2025年度の売上が前年比26%増の270億ドルに達しました。
ただし、2026年度の成長率はやや鈍化し、「低い二桁台」にとどまる見込みだとTan氏は述べています。
Broadcomの前回の決算説明会では、VMwareの最大顧客1万社のうち90%以上が、同社の中核製品であるCloud Foundation(VCF)プラットフォームとサブスクリプションライセンスプランに契約していることが明らかになりました。この数字は、年半ばに発表された87%からわずかに増加しています。
ただし、Tan氏は当時、この転換率は「販売されたライセンス」に基づくものであり、実際のVCF導入状況ではないことを明確にしました。
「言葉の選び方には注意しています。当社が販売し、VMWareユーザーが展開用ライセンスを購入したからといって、完全に導入されているとは限りません」と付け加えました。
この導入作業は「今後2年間にわたる大きな取り組み」になると同氏は述べ、VMWareユーザーがその導入から価値を得られる段階に入ることを強調しました。これによりBroadcomは、より高度なサービスを追加販売できるようになります。
さらにTan氏は、次のように述べました。「第一段階は、顧客を説得して永続ライセンスからVCF購入へ移行させることです。第二段階は、VCFへの投資がプライベートクラウドやオンプレミスのITデータセンターで期待する価値を生み出すことです。これが今進行中で、しばらく続くでしょう。その上で、セキュリティ、災害復旧、さらにはAIワークロードの実行など、より高度なサービスを販売し始めます。非常にエキサイティングな展開です。」
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
















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