中東で試験期間中に政府がインターネット遮断を指示

シリア、アルジェリア、イラクがカンニング防止のためインターネットを遮断

Cloudflareが最近発表したレポートによると、イラン、アルジェリア、シリアの試験期間中に政府による、シャットダウンが行われたことが明らかになったようです。

同レポートによると、過去10年間にわたり各国政府は、不正行為を防止するため、数週間にわたる試験期間中に全国的なシャットダウンを実施し、積極的な行動を取ってきたとのこです。

シリア

シリアでは、Syrian Telecomがソーシャルメディア上で試験スケジュールを公表しています。このスケジュールには、各インターネット 「切断 」の日時が詳細に記載されています。

2024年、試験は5月26日に始まり6月13日までの期間で、この3週間の間にシャットダウンは数時間続きました。

Syrian Telecomは、事実上この国で唯一のインターネットサービスプロバイダーであり、他にも自治システムはいくつかありますが、現在公衆インターネットにIPアドレス空間を発表しているのは2つだけです。

この間のインターネットトラフィックは、シャットダウンが予定されていた時間帯にはゼロに減少しました。

報告書は、シリアのシャットダウンは非対称的であり、トラフィックは国を出ることができるが、応答が戻るためのパスがないことを意味すると付け加えました。

つまり、トラフィックは国外に出ることができるが、応答が戻ってくる経路がなありません。シリアはフィルタリングではなく、シャットダウンの間、IPアドレス空間を公表しないことで、インターネットをシャットダウンしています。

したがって、クライアントアプリケーション、ウェブブラウザ、ローカルDNSリゾルバのいずれであっても、発信元リクエスタに応答を返すことはできません。

イラク

イラクでは、通信省が次のように述べています。「通信省は、より上位の指令に基づき、また教育省の要請により、中級の一般試験期間中、朝6時から8時までの2時間、インターネットサービスを停止することに留意したい。」

前年、文部省のインターネット遮断要請は通信省により拒否されました。

同国は、シリアよりはるかに豊かなネットワークサービスプロバイダー環境を持ち、150以上の自治システムが登録され、IPアドレス空間が発表されています。

同国のトラフィックは、一般的に大手のプロバイダーに集中していますが、国内のすべてのネットワークプロバイダーがシャットダウンを実施するわけではないため、シャットダウンが完全に行われることはほとんどありません。

報告書によると、トラフィックは通常約87％減少するとのことです。

データによると、トラフィックパターンは必ずしも目に見えて変化しているわけではなく、リゾルバからの応答がクライアントに戻ってきていることを示唆しています。

ただし、これは当てはまらない場合があり、グラフの時間枠と時間単位の粒度によるアーティファクトである可能性が最も高いです。

また、このレポートにはクルド人のネットワークプロバイダーからのリゾルバートラフィックも含まれており、これらのプロバイダーは政府の指示によるシャットダウンには必ずしも 従うとは限りません。

同国が、接続を妨害する方法としては、IPアドレスに到達するパケットを阻止する、SNI/HTTPヘッダーに基づいて接続を遮断する、ウェブサイトに関連するコンテンツやホスト名に制限をかけるなどがあります。

アルジェリア

報告書によると、アルジェリアは2018年以降、Baccalaureateの試験中にインターネット接続を、中断させた過去があるとのことです。

これは、2016年に不正行為が蔓延し、試験前と試験中の両方で問題がネット上に流出した後のことです。

インターネットの混乱は、国全体とネットワークレベルの両方で観察されました。

同報告書は、観測されたインターネットの混乱がどのように実施されているかを正確に確認することはできませんでしたが、アルジェリアのネットワークプロバイダーが何らかの形で接続を妨害している可能性は高いが、完全にネットワークをブロックしたりシャットダウンしたりしているわけではないと付け加えました。

政府によるインターネットのシャットダウンは、政情不安の時期によく見られるようになっているます。バングラデシュでは今朝、全国26の地区で抗議デモが発生し、通信が遮断されました。

今年初めには、パキスタンで総選挙が実施されたため、パキスタン全土の複数の地域がインターネットブラックアウトの影響を受けました。

カザフスタンも近年、日常的にインターネットアクセスを遮断しており、直近では2022年1月にブラックアウトが発生しました。

モンゴル国会も昨年2月、内務大臣に要求に応じてインターネットを遮断する権利を与える法律を可決しました。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。