NATOがより積極的なサイバー防衛戦略を検討

攻撃から防衛へ。西側諸国がロシア、中国、北朝鮮に対抗

NATO加盟国の多くが、国家が支援するハッカーに対して、より積極的な対抗策を検討している、と当局は述べました。米国、英国、ドイツ、ノルウェー、スペイン、デンマーク、オランダが策定した潜在的サイバー戦争原則に含まれるこの対抗策は、敵のネットワークをダウンさせるためにサイバー攻撃を使用する選択肢になります。加盟国は2019年初めの合意を目指しています。

NATO 2.0

「NATOマインドセットに、航空機や船舶と同じようにコンピュータは攻撃能力を有しているという認識を受け入れる変化が見られます。私には任務を遂行する義務があります。領空しかりサイバー資産しかり、です。任務遂行にベストな方法は何でしょうか?」米海軍のM.ウィッドマン司令官がNATOサイバー防衛センターでこのように語ったと、ロイター通信が報じています。

米国のNSAとCIAは、イスラエルのユニット8200の支援を受けて、史上初めて物理的インフラにダメージを与えたサイバー攻撃として知られるストックスネット作戦に関与したと考えられています。どちらの国もイラン・ナタンツ核施設における遠心分離機の破壊への関与を認めてはいませんが、2010年に発覚した武器隠蔽の事実が、高度サイバー戦略における軍拡競争が世界的に広まったきっかけになったのは間違いありません。

ストックスネット作戦を詳細に分析したセキュリティコンサルタントのR.ラングナー氏が2013年外交白書に記したところによると、「オリンピック作戦は実験として始まり予想外の結果を生みました。作戦を通して、「デジタル兵器は機能する」という事実が明らかになりました。しかし、この新しいタイプの戦争に対するNATOの対応は遅れました。サイバー空間が、陸海空と同様「軍事領域」として正式に認識されたのは2014年です。サイバー空間での挑発に対してどのように対応するか、NATOはまだ明らかにしていません。その間、脅威は増すばかりでした。

バルト海と英国の治安当局高官はロイター通信に対し、オンライン詐称活動と同時期にロシアのサイバー攻撃が、ヨーロッパの電気通信ネットワークを破壊しようとしている兆候があったと、と語りました。「彼ら(ロシア)はNATOの結束を破壊するチャンスを今も探しています」と、英国の軍当局者は述べました。「かなり戦略的」であると。ロシアはその主張を否定しています。

一方、中国は民間企業と政府の両方から技術や知的財産を盗んだとして非難されていますが、物議を醸した映画「The Interview」の公開に絡んで、ソニーピクチャーズに対する攻撃の背後には北朝鮮がいたと考えられています。中国は米国オバマ政権とサイバー諜報攻撃を規制する協定に調印した後、サイバー諜報活動を縮小したと考えられていますが ― 完全に止めたとは言えません。

NATO加盟国のエストニアにとってロシアは最大の脅威です。2007年には、ソ連時代から続くロシアとエストニアの間の紛争の真っ只中、墓標、戦没者慰霊碑、エストニア銀行、省庁、新聞、放送局や議会のウェブサイトは大規模なDDoS攻撃を受けてダウンしました。しかも、エストニア改革党のウェブサイトもダメージを受けました。ロシアはこれらの主張は「根拠がない」と否定しています。

現在、エストニアは、サイバースパイと重要インフラに対する攻撃との戦いを目的とした国家サイバーコマンドセンターの設立を計画しています。

「サイバー空間では守り一辺倒という訳にはいきません」法務および行政事務次官、兼、防衛省サイバー対策担当長官E.コダル氏はこのように言っています。

今週はNATO最大のサイバー防衛演習がエストニアで行われました。

– Data Center Dynamics
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