あつ森でデータセンターを学ぶ2【特集】
サーバーの冷却方式あれこれ
近年ではサーバーのハイパワー化と共に高密度化が進み、従来からの冷却方式ではサーバーの熱除去がままならなくなるケースが増えてきています。
そこで、業界内ではいかにしてサーバーの熱除去するか?について様々な研究が重ねられてきました。ここでは最新のサーバールーム冷却テクノロジーの一部を簡単にご紹介しようと思います。
データセンターの冷却技術を学ぶ【DCPROデータセンター冷却プロフェッショナル】クラス
垂直排熱ダクト
パート1で、アイル分離「アイルコンテインメント」の必要性について解説しました。また、アイルコンテインメントには、冷気を封じ込める「コールドアイル・コンテインメント」と暖気を封じ込める「ホットアイル・コンテインメント」の2種類があることも開設しましたが、この垂直排気ダクトは、「ホットアイル・コンテインメント」の一種となります。具体的な仕組みとしては、サーバーなどのIT機器の吸気面は床下から吹き上げる冷気を吸気し、ラックの背面を封鎖することで、サーバーが排出する暖気はラック上部に取り付けられた排気ダクトからシステム天井の内部に流れ込み、そしてCRAC(空調機)に戻る仕組みです。
この「ホットアイル・コンテインメント」の仕組みの利点としては、戻り空気
温度が高くなるため、「コールドアイル・コンテインメント」より効率が高かったり、、快適な作業環境を維持しながら、空調機の吹出空気温度を高く設定できるといったメリットがあります。
リアドア冷却
従来の旧式データセンターでは、ラック当たり4〜10kW/ラック程度の発熱量しか想定した設計となっていませんでした。しかし、最近の高性能GPUサーバーは、1台当たりの発熱量が1台で3kW程度にもなることがあり、従来のラックでは実質2~3台程度しか設置できなくなってしまいます。せっかくラックに十分なスペースがあっても、これでは非常に非効率です。
そこで、ラック自身の排熱側の扉を高性能な冷却システムに変更することで、ラックの冷却能力を高め、高発熱機器をもっと搭載できるようになります。その仕組みが「リアドア冷却方式」です。
リアドア冷却方式」には、ファンレスのものだけではなく、ファンを搭載したアクティブ型リアドア冷却器があり、冷却効率も大変優れていて、12kW/Rackから75kW/Rackまで、大容量の冷却が期待できます。
リアドア式冷却のメリットはいくつかあります。高密度環境向けの冷却ソリューションの中でもダイレクトチップ冷却や液浸冷却のように機器側を特殊なものにする必要がなく、従来の機器がそのまま使えるという点が最も大きなメリットと言えます。また、従来の19インチラックを利用したままで、超高密度対応できるのもメリットです。
【参考製品】Motivair社 ChilledDoorリアドア冷却システム
液浸冷却
液浸冷却とはコンピュータ機器を直接液体タンクに沈め、発熱を奪う技術です。 従来のデータセンターで一般的に使われている空冷方式と全く異なる方法となります。使用する冷媒としては、フッ素系の液体であるフロリナートフッ素系不活性液体などが利用されます。
近年、液浸冷却が注目されている背景には、1台当たりのサーバーやCPU/GPUチップ発熱量が増加している「高密度化」があげられます。
高性能コンピューティング(以下 HPC )が幅広く利用されるようになり、その技術を支えるサーバーはここ数年で数倍~数十倍の電力を消費するように変化しています。いかに電気を供給するか、いかに熱を取り除くか、そして、いかにサーバーなどの重みにも耐えられるだけの床荷重を作るかといったことが議論になっています。
液浸冷却装置では、GRCやIceotopeなどが世界的に有名ですが、Alibabaや富士通のように、自社で液浸技術を開発する企業も増えています。また、大成建設、RSI、および篠原電機が液浸冷却システムを共同開発しているケースもあります。
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