AWSのVPが抗議を行った従業員を解雇したAmazonに失望し辞任
気候変動やCovid-19対応に抗議を行った従業員、内部告発者に対する報復として解雇
アマゾンウェブサービス(AWS)のVPを務め、また著名なエンジニアでもあるTim Bray氏が、親会社Amazonに抗議を行った従業員への処遇問題に関連し、正式に引責辞任しました。
Tim Bray氏は、Amazonの気候変動政策に反対する声を上げた複数の従業員を解雇した同社の決定、およびCovid-19危機への対応は「chickenshit(臆病者)」、そして「恐怖の風土を生み出すような対応だ」と語っていました。
「法的防護柵を整備する必要がある」
Bray氏は彼のブログ上のオープンレターで、次のように書いています。「Amazonの気候変動目標を改善しようとしていた従業員、そして Covid-19の中で倉庫スタッフの安全性を改善しようとしていた従業員への会社の対応に失望し、在職5年5か月をもってAWSを退職した。」
以前、Amazon UXデザイナーのEmily Cunningham氏とMaren Costa氏は倉庫スタッフの扱い、そして同社の気候変動政策に反対していましたが、両者共その後解雇されました。また、倉庫ストライキを主導したChris Smalls氏(後に、Amazonは彼のことを「賢くも、理路整然でもない」と中傷しようとしていたことを明らかにした内部告発文書を出した)も、同僚の組織化を企てたという理由で解雇され、更にその事について主張していた倉庫スタッフのBashir Mohammed氏も解雇しています。
CostaとCunninghamを含むテクノロジーワーカーは、4月16日にオンラインミーティングを行い、倉庫スタッフが新型コロナの合併症により死亡した2日後に、Amazonの新型コロナ対策への行動欠如についての懸念について話し合いを行っています。Amazonは何千人ものスタッフカレンダーからそのミーティングの招待を削除しましたが、それでも400人が出席しました。同社はまた、 500人を超えるスタッフが関与している社内のlistserv(=メーリングリストソフトウェア)の通信監視を行い、モデレート、および承認が必要であるとスタッフに伝えています。
Bray氏は、活動家が解雇されたことで、彼は「折れた」と述べています。更に、「VPは公然と不正を行うべきではない、だから私は適切なチャネルと本を通じてその事実をエスカレーションした。私にそのディスカッション内容を開示する自由はないが、このエッセイに多くの議論を記した。私は適切な人々にそれを作ったと思っている。」
「万事休す、Amazon VPに居座ることは、事実上、私が軽蔑した行動を認めたことになるので、私は辞職を決意した。」
Bray氏はAmazonが「倉庫の安全に多大な努力を払っている」ことを認めたうえで、”超大型タンカー”を10セント硬貨に変えないで」と述べています。しかし、根本的には「Amazonは、倉庫で働く人間をピック&パックできる交換可能な単位としてあしらっている」とも述べています。
彼は続けます。「Amazonがやっている特定のことが気に入らない場合、それを阻止するための法的防護柵を敷く必要がある。新しいものを作り出す必要はない。独占禁止法と生活賃金と労働者の権限を守る法律の組み合わせは厳格に施行されており、明確な道筋を示している。」
Bray氏によると、内部告発者の解雇の事実は「企業文化を貫く一連のブラック体質の証拠」であると言います。
Bray氏が勤務していたAmazonの一部門であるAWSでは、従業員ははるかに高い水準で扱われています。「もちろん、AWSの従業員には力がある。平均給与は非常に高く、もし不満があっても同じかそれより高賃金で別の仕事に就くことができる…しかし倉庫内の労働者は弱者であり、 大量失業や、(米国では)仕事に関連する健康保険などにより更に弱くなってきている。」
Bray氏いわく、高給とストックオプションにより、退職の際には、税引き前で100万ドルもの費用がかかる可能性が高いとのこと。
Candianソフトウェアの開発者でもあったBray氏は、テクノロジーのいくつかの重要な標準に貢献しており、XML(拡張マークアップ言語)の主要なイノベーターでもありました。
退職する前は、彼はアマゾンウェブサービスによる油田採掘サポートの中止を求めるAmazon株主への書簡に署名した唯一のVPレベルのAmazon社員でした。尚、この書簡には8,000人以上の社員が署名を行っています。
2018年4月18日、Bray氏はカナダのアルバータ州からブリティッシュコロンビア州の海岸に原油と精製油を運ぶトランスマウンテン・パイプライン工事計画に対する反対デモ行為により法廷侮辱罪で逮捕されています。
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