トランプ大統領、オラクルとウォルマートのTikTok取引を承認

ドナルド・トランプ米大統領は、ByteDanceからスピンアウトした、オラクルとウォルマートによる新会社「TikTok Global」との提携を原則として承認しました。

今回の取引に伴い、オラクルは人気のビデオ共有アプリTikTokのクラウドサービスとテクノロジーサービスに関する契約を獲得します、しかし同社のアルゴリズムのコントロールはできません。

ByteDanceの過半数株式を保有する企業はそのまま残る一方、オラクルはソースコードを「チェック」できるようになります。TikTok Globalは米国に本社を置き、5名のメンバーからなる理事会のうち4名はアメリカ人が就任します。

尚、契約は依然として中国政府の承認が必要とされます。

まだ多くの不確実性が残る

トランプ大統領は、新会社は「オラクルとウォルマートによって完全に管理されている…すべてはオラクルとウォルマートによりコントロールされる」と述べています。実際には、オラクルは12.5%の株式を、Walmartは7.5%の株式を取得します。

ByteDanceの残りの80%の株主には、同社の従業員やCEOらも含まれています、しかし来年には、より多くの米国の株主が参加するIPOが計画されています。ByteDanceの株式の40%は既に米国の投資家が保有しています。

「この契約の一環として、TikTokはOracle Cloud上で運営される事となり、オラクルはTikTok Globalの少数株主になる予定だ」とオラクルのCEO Safra Catz氏は述べています。

同社は声明のなかで、TikTokが「ビデオ会議の容量の多くをOracle Public Cloudに移行したZoomの直近の成功に大きな影響を受けた」と述べています。オラクルはこの夏の大半の時間を費やして、人気のビデオ会議プラットフォームZoomをホストしている点を主張しましたが、実際にはほとんどAmazon Web Services上で実行されていた事実が判明しました。

Zoomの第1四半期の決算説明会で、Eric Yuan CEOはAWSに対し感謝の言葉を述べ、AWSは「我々が必要とする新しいサーバの多くの導入に迅速に対応していただき、時には数日続けて数千台のサーバ追加もしてくれた」と述べていました。

一方、オラクルについては、Zoomに対しサポートを表明した「顧客」としていました。「ラリー・エリソンは、世界に向けて適切なことを行うようチームを励ます素晴らしいビデオを録画しただけでなく、Oracle Cloudのサポートも提供してくれた。我々はまた、Oracle Cloud上にも多くのサーバを導入した」

TikTokの取引に焦点が当たる中、主要なトランプ支援者であるエリソン氏は、次のように述べていました。「TikTokは、他のすべての大手クラウド事業者が現在提供する第1世代テクノロジーよりもはるかに高速で信頼性が高く、また安全であるとして、Oracleの新たなGeneration 2 Cloud(第2世代クラウド)インフラを採用した」

TikTokが完全に独立していた頃には、Google Cloudと3年間で8億ドルの契約をしていました(同社はDigital Realtyを含むデータセンター事業者も使っています)。尚今回、GoogleがTikTokの取引に入札したとは考えられていません。

オラクル以外に今回のTikTok取引に入札した唯一のクラウド事業者はMicrosoftでしたが、同社の提案はトランプ大統領の当初の要求、つまり国家安全保障上の懸念のため、あらゆる技術を国内に置き、完全に米国を拠点とする会社による運営に固執しました。ByteDanceは今月初めにMicrosoftの提案を受け、より多くの制御を保持できると思われる取引を選択しました。

トランプ大統領のもう一つの要求は、同社が売却されない限りプラットフォームの運営を禁止するとし、米国財務省が売却促進に関する手数料を受けることでした。

オラクルとウォルマートの共同プレスリリースでは、この手数料は、米国を拠点とする新会社が25,000名を超える新規従業員を採用することで発生する税金の50億ドルとして再定義したと述べています。

しかしトランプ大統領は、先週土曜日のノースカロライナでの集会で支持者に対し、TikTok Globalは「人々に我が国の真の歴史を教育する教育基金として50億ドルを支払う予定だ。今、その取引に非常に近づいている」 と語っていました。

一方ByteDanceは週末の声明で、今回の取り組みについては初めて聞いたと述べていました。ByteDance、オラクルとウォルマートは 、教育イニシアチブの作成には同意しましたが、50億ドルの投資については約束していません。また、「真の歴史」の教育についても同意していません。

先週、トランプ大統領は「愛国的な教育」を促進するための新たな全国キャンペーンを宣言し、「1776委員会」と呼ばれる「親米カリキュラム」を作成するための国民会議を立ち上げると述べていました。

この取り組みは、アメリカの民主主義の歴史に奴隷制がどのように織り込まれていたかを調査した、ピューリッツァー賞を受賞したニューヨークタイムズのエッセイ・シリーズ「1619プロジェクト」への対応であると考えられています。

Data Center Dynamics

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