TikTok米国部門のOracle及びWalmartへの強制売却は無期限棚上げ

ウォールストリートジャーナル(WSJ)の報告によりますと、TikTokに米国事業の売却を強制するトランプ政権時代の計画は無期限に棚上げされました。

TikTokは、米商務省がウォルマートとオラクルの支援のもと米国事業を新会社へスピンアウトさせようとする試みに対し、法廷で提訴していました。

売却が実現した場合、新会社はOracle Cloudでホストされる予定とされていました。

オラクルは数年で最大の潜在顧客を失う

バイデン政権は、裁判所へ提出した書類の中で、TikTokが国家安全保障上の脅威をもたらしたという主張に関する再調査を行い、TikTokの禁止に対する連邦地方裁判所裁判官による12月の差し止め命令に対し、政府側からの控訴を延期すると述べています。

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この問題に精通している人々はウォールストリートジャーナルに対し、現在TikTokの親会社ByteDanceの代表者と米国の国家安全保障当局の間で議論が続いていると述べています。特に、当局はセキュリティと、中国政府が米国のユーザデータにアクセスできないようにする方法に焦点を当てていました。

TikTokは長い間、アメリカ国内のデータは同国内に保管されており、北京とのデータ共有はしていないと主張してきました。

「私たちは、直面するあらゆる脅威にから米国民のデータを保護するための包括的なアプローチを開発する予定だ」と、国家安全保障会議のスポークスマン、エミリー・ホーン氏は述べています。

「これには、米国内で動作する中国製のアプリやその他ソフトウェアがもたらすリスクが含まれる。今後数か月以内に、直面するリスクを包括的に理解した上で、特定のケースを確認する予定だ」

ドナルド・トランプ大統領は当初、2020年8月に米国企業に対しByteDanceとの取引を禁止する大統領令に署名し、9月20日までの期限を設けました。トランプ氏は唯一の解決策として、会社を売却し、米国に売却額の一部を支払うこととしました。TikTokはその後、買収を検討する企業にアプローチする一方で、禁止と強制売却をめぐり米国政府に対し提訴していました。

初期の買収交渉における候補企業は、LinkedInを所有し、現在Pinterestとも買収の可能性について協議を進めているマイクロソフトでした。しかし、米国政府は、著名なトランプ支持者であるラリー・エリソン氏が設立したオラクルの提案を支持しました。

原則として9月に大統領によって承認されたこの取引により、「TikTokGlobal」の創設に繋がる流れでした。その新会社は、オラクルとウォルマートを最大の株主に数え、Oracle cloudでホストされる予定でした。

当時、トランプ氏は、新会社は「オラクルとウォルマートが完全に支配する…すべての支配はオラクルとウォルマートである」と述べていましたが、オラクルは12.5パーセント、ウォルマートは7.5パーセントの株式しか取得しませんでした。

そしてByteDanceの株主が残りの80%を保有すると見られており、批評家は、この取引は実際には米国政府の名目上の懸念を解決できていなかったと指摘しています。

例え取引きが進んだとしても、売却は依然として中国政府によって承認されなければなりません。中国は最近新たな輸出規制を導入しました。

さらに紛らわしいことに、トランプ氏は支持者に対し、TikTok Globalは「我が国の真の歴史について人々を教育できるよう、教育基金として50億ドルを支払う予定がある」と伝えていました。

その発表はノースカロライナ州の選挙集会での彼の支持者に対するニュースでした。そしてそれはByteDance、オラクル、そしてウォルマートへのニュースでもありました。それは奴隷制がアメリカの民主主義の物語とどのように織り交ぜられているかを調べた、ピューリッツァー賞を受賞したニューヨークタイムズのエッセイシリーズである「1619プロジェクト」に対する反論であったようであり、そしてそれとTikTokとの関係は明確ではありませんでした。 

しかし、トランプ氏が選挙で敗北したことで、売却の背後にあった原動力はもはやなくなりました。彼の在任最後の2か月で、大統領はParler関連など他の事柄に集中し、そして商務省は禁止を強制しないことを決定しました。

TikTokは引き続き米国内でサービスを提供しています。同社は2019年にGoogle Cloudと3年間、8億ドルの契約を結び、データセンターの主要なホールセールデータセンター顧客の一社です。

親会社のByteDanceは、134MWと、2020年米国で最もデータセンターリース契約をした企業の1社であった、とNorth American Data Center(NADC)のレポートでは報告されています。

また同社は、Oracle Cloudは利用していないようです。

Data Center Dynamics

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