日本の雪氷冷却データセンターがウナギの養殖場を開設

雪解け水で冷却される北海道のデータセンターが、その廃熱を利用したウナギの養殖を始めています。

美唄市にあるホワイトデータセンター(WDC)では、1700尾のウナギの稚魚を空輸し、データセンター内の水槽で養殖しています。データセンターの冷却には、冬期に採取した雪解け水が一年中使用されています。データセンターの冷却に使われた後の水の温度は33℃と、ウナギの養殖に最適な温度になっていると同社は説明します。

ホットアイルとウナギの出会い

ホワイトデータセンターは、ウィンタースポーツと雪の町として知られる美唄市のプロジェクトとして始まりました。この地域では、雪の冷却力を利用する方法を考えており、2008年に雪解け水をコンピューター冷却に利用することが提案されました。2010年、美唄市は雪解け水でサーバーを冷却できることを実証するプロジェクトを実施しました。2014年から2019年にかけては、日本のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の研究機関の支援を受けて「ホワイトデータセンター」プロジェクトを実施し、冬期に貯めた雪を1年中使ってデータセンターを冷却できることを実証しました。

このプロジェクトにより、データセンターの電気代が約20%節約できたことから、ホワイトデータセンターは商用プロジェクトとしてスピンアウトし、プロジェクトのパートナー企業の1社であった共同通信デジタルが購入した3.6ヘクタールの土地で、2021年4月から運用を開始しています。WDCが目指すのは、CO2排出量ゼロのデータセンター運営です。

データセンターの敷地内には、冬になると雪が積もり、そこからデータセンターまでのパイプ内を循環する不凍液でデータセンターを冷却します。

政府のプレスリリースによると、このセンターでは現在20ラック分のサーバーが稼動しているが、今年後半には200ラック分のサーバーを備えた第2データセンターの開設が予定されているといいます。

この冷却システムは、農業や養殖に理想的な温度である33℃の水を生成します。WDCでは研究プロジェクトとして、この熱を利用したアワビ、ウニ、コマツナ、プチトマトなど様々な農産物の栽培方法を検討しました。

朝日新聞の記事によると、WDCは商用フェーズに入り、最初の製品としてウナギとキノコを選んだと言います。どちらも短期間の飼育や栽培で収穫できます。

特にウナギは、日本では主要な食材で、過去40年間に年間約25万トンの大規模な養殖が行われてきました。

WDCは11月、美唄市の支援を受けて養殖施設を設立しました。水槽は冷却装置の出力を利用して年間を通して27℃に保たれます。WDCは、約30万匹のウナギの出荷を見込んでおり、ウナギは7カ月間、現場で250gの商品重量になるまで成長させる。

2月には神戸から1,700尾のうなぎが空輸されました。成長したうなぎは、全国に販売されるほか、地元の学校給食にも採用される予定です。朝日新聞によると、北海道で初めての養殖うなぎとなるとのことです。

WDCの伊地知晋一社長は、政府発表の中で、「次に建設するデータセンターは、現在の10倍の規模になる予定」と述べています。「エネルギーを効率的に利用するため、冬場にサーバーが排出する排熱を利用した野菜栽培や魚介類の温室での養殖を試みている。データセンターの規模が大きくなるにつれて、これを現実のものとする予定です」

WDCの雪氷冷却に関する研究は、すでに他でも実を結んでいます。近隣の北海道石狩市では、京セラが雪氷冷却による自然エネルギー利用のデータセンターを建設中です。新潟県の長岡データセンターでも旧データドックがこの技術を導入しました。

海外では、データセンターと養殖場の連携事例もあります。ノルウェーでは、グリーンマウンテン社がロブスターの養殖場に廃温水を利用しており、マスの養殖場も温めています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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