マイクロソフト、ワシントン州クインシーのデータセンターで低炭素コンクリート実験
セメント成分を微細藻類由来の石灰岩に置き換える
マイクロソフトは、ワシントン州クインシーにあるデータセンターの建設プロジェクトで、より低炭素なコンクリートミックスをテストしています。
同社は、コンクリートの二酸化炭素排出量を半減させることを目標に、フライアッシュやスラグとともに、微細藻類由来の材料を含むコンクリートレシピをテストしています。
Nature 誌によると、建設部門は大量の二酸化炭素排出に関与しており、コンクリートだけで世界の排出量の8%を占めています。世界鉄鋼協会によれば、鉄鋼はさらに7%を追加しているということです。
データセンター業界は、施設建設による排出がサプライチェーンが生み出す「Scope 3排出」の主要な部分を占めていることから、この問題に取り組もうとしてきました。
以前は マイクロソフトは、CO2を添加した従来のコンクリートをテストし、この製品のメーカーであるCarbonCureに投資しました。CarbonCureのミックスに添加されたCO2はコンクリートをより強くしますが、セメントを製造する際に排出されるCO2のごく一部を相殺する程度にすぎないということです。
AmazonはCarbonCureに投資し、ホルシムの別のグリーンコンクリートミックスも試しています。
マイクロソフトは2030年までにカーボンネガティブになることを約束し、木材、土、麻、キノコなど、他の低炭素建築材料の使用も検討しています。
コンクリートは石灰石を使用するが、石灰石は通常、粘土とともに窯で約2,650°F(1,454℃)まで加熱されます。これによって直接CO2が発生し、窯自体も通常石炭かガスで焚かれるため、さらにCO2が発生することになるのです。
マイクロソフトは クインシー で、3種類の代替コンクリートミックスをテストしています。ひとつは、微細藻類由来の「バイオジェニック」石灰石とその他の添加物、もうひとつは、フライアッシュやスラグと呼ばれる産業廃棄物をアルカリ性ソーダ灰で活性化したもの、3つ目は他の2つを組み合わせたものです。
マイクロソフトは、構造上のニーズに合致し、体積炭素を50%以上削減できるような配合設計を得るため、テストを行うつもりです。
マイクロソフトのインフラエンジニアであるSteve Gilges氏は、マイクロソフトのブログで次のように述べています。「しかし、材料特性、化学反応、機械的変化は、特に合成フィラーと生物学的由来成分を組み合わせたものを導入する場合、複雑になる可能性があるのです」。
この生物由来の石灰石は、コロラド大学ボルダー校で開発された海洋藻類を使用するプロセスを商業化しているMinus Materialsのものです。
現段階では、低炭素コンクリートはまだ実験的なものですが、だからこそテストが必要なのだとJames氏は言います。 「進歩の最大の敵は、始める前に完璧でなければならないという概念です」と彼はブログ記事で述べています。「実際に影響を与える最善の方法は、十分な解決策を持って外に出ることであり、現在十分なのは、炭素を減らすことが可能なこれらのものを使うことであり、そうすればすぐに影響を与え始めることができます」。
マイクロソフトはClimate Innovation Fundを通じて、別の藻類プロセスを用いてバイオセメントを製造している企業、Prometheus Materialsも支援しています。
同基金はまた、再生可能エネルギーで鉱石を電気分解して鉄を製造する企業、Boston Metalにも投資しており、製鉄によるCO2排出をなくすことを目指しています」。
マイクロソフトは現在、建設資材について第三者によって検証された環境製品宣言(EPD)を用いて炭素を計算しています。
「建築環境において、コンクリートと鉄鋼の脱炭素化は、気候への影響の観点から決定的に重要です」と、マイクロソフトの10億ドルの気候イノベーション基金のシニアディレクターであるBrandon Middaugh氏は言っています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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