米国のデータセンターの電力消費は2030年までに倍増 〜Newmarkレポート

米国のデータセンターの電力消費量は、10年後までに35GWに達し、2022年のほぼ2倍になる可能性があります。
 
商業用不動産コンサルタント企業Newmarkの最新の市場レポートによると、AI・機械学習対応ラックへの需要がこの成長を牽引するとしています。
 
同レポートはまた、北米全域のデータセンター・ホットスポットにおける利用可能スペースが低水準であることを強調しており、いくつかの主要市場では利用可能スペースが1桁台にとどまっているとの事です。
 

データセンターのAI化

 
ハイパースケール・パブリッククラウド・プロバイダーが提供する、ますます高度化するAIサービスは、データセンターの電力要件が今後数年間で急増する可能性が高いことを意味している、と本レポートの著者は述べています。
 
ハイパースケーラーが既存のデータセンターで必要とする電力は通常1ラックあたり10~14kWですが、リソースを大量に消費するGPUを搭載したAI対応ラックでは40~60kWに上昇する可能性があります。この事から、全米のデータセンター全体の消費電力が、2022年の17GWから2030年には35GWに達する可能性が高いとしています。
 
「基本的に、加速するAI/MLの導入をサポートするには、既存データセンターの多くが対応する以上の電力と冷却が必要です。すべての既存データセンターが改装に向いているわけではなく、既存市場と新興市場の両方で新プロダクトへの需要を喚起しています」
 

米国主要市場の容量は限界

 
レポートによると、既存市場はすでに需要を満たすのに苦労しています。3,400MWという世界最大のデータセンター市場であるバージニア州北部では、稼働率はわずか0.2%にとどまっているようです。
 
同州で今後予定されている開発としては、Stack Infrastructureがリーズバーグに建設中の72MWのキャンパスがあります。今月初めに発表されたこのキャンパスは、2025年前半に稼働を開始する予定です。
 
サンフランシスコ周辺のベイエリアでは稼働率が0.5%、ダラス フォートワースでは1.9%、アリゾナ州フェニックスでは3.8%となっています。
 
Newmarkのレポートではその他、データセンター販売市場の急激な落ち込みを強調しています。2023年9月末までの1年間に米国で記録された販売額は12億ドルで、前年同期比46%減であったとの事です。
 
「取引の減少は、部分的にはレート主導によるものだが、ここ数年のM&Aの大幅な増加により、スケールが大きいアセットの残存数は限られている」と同レポートは述べています。「また、買い手と売り手の間で、建設コストを大幅に上回る評価額に対する見解の相違が拡大しています」

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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