マイクロソフトがDLCを採用、マイクロフルイディクスを模索
マイクロソフトは、ダイレクトチップ液体冷却を採用し、また、マイクロフルイディクス(マイクロ流体力学)の可能性について模索しています。
マイクロソフトは最近のブログにおいて、同社の水使用量と冷却に関する野望について詳述し、液冷を採用した最新の動きについて概説しています。
「コールドプレートがもたらす優れた効率性を活用するため、我々は ダイレクトチップ液体冷却 に最適化された新世代のデータセンター設計を進めており、そのためにはサーバーとラックのレイアウトを刷新し、電力管理だけでなく熱管理の新たな手法に対応する必要がある」と同社は述べています。
マイクロソフトは、新設計と同様に、既存のデータセンターでも「サイドキック液冷システム」を導入していることを明らかにしました。同社は昨年、Cobalt CPUとMaia AIアクセラレーター・チップを発表した際に、サイドキックを初めて披露しました。
SemiAnalysisによると、MaiaチップはAresと呼ばれるカスタム設計のラックとクラスタに配置されます。サーバーは標準的な19インチでもOCPでもなく、「はるかに広い 」と伝えられています。Aresは液冷構成としてのみ利用可能で、一部のデータセンターでは水冷式CDUを導入する必要があります。
各サーバーには4基のMaiaアクセラレーターが搭載され、ラックあたり8台のサーバーが搭載されます。サイドキック式の場合、冷却インフラはシステムの側面に設置され、コールドプレートに液体を循環させます。
同社はまた、マイクロ流体冷却技術にも取り組んでいると述べています。マイクロフルイディクス(マイクロ流体力学)はまだ始まったばかりの技術で、チップ設計に小さな流体流路を組み込むことにより、シリコン内部に冷却をもたらし、チップ内部に液体冷却機構を組み込み、プロセッサーのすぐそばでクーラントを循環させます。
マイクロソフトのマイクロフルイディクス研究についての詳細については明らかにされていません。
「当社の最新のデータセンター設計は、AIワークロードをサポートするために最適化されており、冷却用水の消費はゼロです。これを実現するために、当社は蒸発を伴わずに必要な場所だけに正確な温度冷却を提供する、チップレベルの冷却ソリューションへと移行しつつあります。これらの技術革新により、私たちは水の消費量を大幅に削減する一方で、より高密度のラック容量をサポートし、データセンター内の1平方フィートあたりの計算能力を向上させることができます」
マイクロソフトは、2030年までにウォーター・ポジティブになることを目標としています。同社の2023年のESG報告書では、2022年に主にクラウドデータセンター用として640万立方メートルの水を消費したと述べています。2024年の報告書では、この数字は2023年には780万立方メートルに増加していました。
ブログでは、同社がテキサス、ワシントン、カリフォルニア、シンガポールの拠点で再生水とリサイクル水の利用を拡大したことも紹介されています。同社はオランダ、アイルランド、スウェーデンで雨水を利用しており、これをカナダ、英国、フィンランド、イタリア、南アフリカ、オーストリアの新規データセンターに拡大することを目指しています。
「2000年代初頭に設立された第一世代のデータセンターから、2023年に設立される現在のデータセンターまで、マイクロソフトは水使用量(1キロワット時あたりの水消費量)を80%以上削減しました」と同社は述べています。
マイクロソフトは以前、液浸冷却企業のWiwynn社と提携し、二相式液浸冷却を実証実験したことがあります。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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