
三菱重工がデータセンター需要の急増に対応しタービン生産を倍増へ
30%以上の増産を計画
三菱重工業(MHI)は、特にデータセンター市場からの需要急増に対応するため、今後2年間でガスタービンの生産能力を2倍にする計画を発表しました。
Bloombergによると、同社では注文が急増しており、その一因として、数十年前に設置された多くのタービンが寿命を迎えていることが挙げられています。CEOの伊藤栄作は、インタビューで「当初は生産能力を30%増やす計画でしたが、それでは需要に追いつきません。注文への対応が最優先事項です」と述べました。
データセンター市場の成長により、電力会社やデータセンター開発業者は、即応性の高い電力供給を可能にする天然ガスタービンをよりいっそう求めるようになっています。この大幅な需要の高まりにより、タービン供給不足の懸念が生じており、メーカーの納期が2030年代まで延びるケースも報告されています。
こうした圧力を緩和するため、大手タービンメーカーは利益率を守るために投資を制限し、予測されるデータセンター市場の成長が実現しなかった場合のリスクを避けようとしています。
伊藤CEOは、製造コストが過去数年でほぼ2倍に増加している中でも、生産チェーンの効率化によって出力を増やす方針を示しました。
急速な拡張を目指す一方で、需要予測が外れる可能性もあるため、慎重に進めると伊藤CEOは述べています。「可能な限りスリムな体制を目指します」としながらも、今後10年間は需要が堅調に推移すると見込んでいます。
三菱重工は、GE Vernovaやシーメンスと並び、世界の天然ガスタービンの大半を製造する3大メーカーの一つです。
天然ガスは、迅速な市場投入を目指すデータセンターにとって最適な選択肢となっており、短期間で即応性のある電力供給が可能です。
例えば、AIデータセンター開発企業のCrusoeは、GE Vernovaから約1GW分の天然ガスタービンを注文したことを7月に発表しました。Crusoeは、OpenAIの「Stargate」プロジェクト向けにテキサス州アビリーンに大規模なキャンパスを開発しており、その一部は天然ガスによって電力供給される予定です。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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