NEC、ベクトル型スパコン「SX-Aurora TSUBASA」の最新モデルを発表

東北大学とドイツ気象庁が新ハードウェアの導入を決定

NECは、ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」の新モデルを発表しました。この新ハードウェアは東北大学サイバーサイエンスセンター(以下、東北大学)、及びドイツ気象庁の新システムとして導入されます。

新型のSX-Aurora TSUBASA C401-8モジュールは、今後のSX-Aurora TSUBASAスーパーコンピュータの一部として展開され、従来比2.5倍の演算性能と2倍の電力効率を実現するとしています。コア数を従来の10コアから16コアに増やし、新たにL3キャッシュを採用することで、より高速な演算性能を実現しました。

最近のCPUは何らかのベクトル処理を搭載していますが、特に大規模で複雑なデータを扱う場合には、専用のシリコンを使用することで優れた性能を発揮することができます。SX-Aurora「TSUBASA」製品ファミリーは、1970年代にスーパーコンピュータの専門メーカーであるCray社が製品化したベクトル処理へのアクセスを容易にすることを目的としています。

東北大学は、2023年8月に新システムを稼働させる予定で、合計4032基のベクトルエンジン(VE)を搭載し、理論演算性能は約21ペタフロップスとなる予定です。NECは、ベクトル型スーパーコンピュータシステムとして世界最高性能になるとしています。

東北大学サイバーサイエンスセンター長の菅沼拓夫教授は、次のように述べています。「東北大学サイバーサイエンスセンターでは、1986年に「SX-1」を導入して以来、ベクトル型スパコンを使用しています。2020年10月から稼働している現在のスパコン「AOBA」も「SX-Aurora TSUBASA」をベースとしており、常に高い稼働率で様々な方にご利用いただいています。このたび、この高い需要に応えるため、新世代の「SX-Aurora TSUBASA」を導入することになりました。「この新世代機により、より広く、より多様な分野の科学技術の発展に貢献していきます」

東北大学では、これまでのSXシリーズを、航空機や発電用タービンの設計などの製造や、減災シミュレーションなどの用途に採用してきました。2020年に導入された「AOBA」の性能は1.8ペタフロップスで、2015年に導入された旧システム「SX-ACE」の約2.5倍でした。


また、ドイツ気象庁 “Deutscher Wetterdienst”(DWD)は、気象予報システムを増強する目的で、2023年9月に新しいSXシステムを導入する予定です。

「NECは、今回発表したデータセンター向け「SX-Aurora TSUBASA」に加え、オンサイトモデル、エッジモデル、ベクトルエンジンなど、今後もお客さまの環境に合わせたシステムの提案を進めていきます。これらの取り組みを通じて、ベクトル型スーパーコンピュータの利用を拡大し、社会や市場の課題解決に積極的に貢献することを目指しています」と、日本電気株式会社アドバンストプラットフォーム事業部常務取締役の茂垣泰夫氏は述べています。

NECは現在、最もパワフルなスーパーコンピュータのランキングであるTop500のトップ100に、SXベクトルシステムを3台ランクインさせています。このうち、海洋研究開発機構の地球シミュレータは、持続9.99ペタフロップス、最大ピーク13.45ペタフロップスと、現在最も強力な性能を発揮しています。

NEC、580ペタフロップスの自社製AIスパコンにSupermicroのハードウェアを導入


今月は、NECが新たなAIスーパーコンピュータ用に116台以上のSupermicro GPUサーバを導入したこともSuperMicroから発表されました。

このシステムは、2つのXeon Platinum 8358プロセッサーと8つのNvidia A100 80GB GPUをそれぞれ搭載した116台のSYS-420GP-TNARサーバー、2つのインテルXeon Gold 6342プロセッサーをそれぞれ搭載した119台のSYS-120U-TNRサーバーで構成されており、同社はこの新システムは580ペタフロップス以上の性能を提供すると述べています。

Supermicroの社長兼CEOであるCharles Liang氏は、「Supermicroは、580PFLOPSのAIトレーニングパワーを世界中のAI設備に追加で提供できることに興奮している」と話しています。「SupermicroのGPUサーバーは、NECに導入され、最先端のAI研究を行うために使用される。当社のサーバーは、最高性能のCPUとGPUを使用して、最も要求の厳しいAIワークロード用に設計されている。私たちは、先進的なラックスケールサーバーソリューションにより、より速く、より効率的にビジネス目標を達成するために、世界中の大手顧客と協力し続けていきます」

NECのAI研究用スパコンは、AI開発における「同社の評価の維持・強化」のために使用されます。

「NECは、Supermicro GPUサーバを用いた最先端の研究を行うことで、AI革命をリードしています」NECのシニアAIプラットフォームアーキテクトの北野貴稔氏は、次のように述べています。「Supermicro GPUサーバは、拡張性、カスタマイズ性に優れており、今後のAI研究の発展に合わせて柔軟にシステムを進化させることができます。今後もSupermicroと密接に連携し、AI研究を進めていきます」

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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