2022年第4四半期クラウド大手決算 ~Amazon、Microsoft、Google共成長鈍化
パンデミックブーム後、過去最低の成長率に
世界経済の減速を受け、ハイパースケールクラウド各社がアナリストの収益予想を下回りました。
Amazon、Google、Microsoftの3社はいずれもクラウド部門で2桁の成長を記録しましたが、急激な成長を遂げた過去数年に比べれば低い成長率にとどまりました。
AWS、引き続きトップ
Amazon Web Services(AWS)は、第4四半期の決算報告で、総売上高が213億8000万ドル、前年比20%増となり、過去最低の成長率となったと発表しました。なお、前年は40%の伸びを記録していました。
また、営業利益は52億ドルで、2021年第4四半期の53億ドルをわずかに下回りました。
同社は、2023年はさらなる減速の兆しがあると警戒を強めています。「今年最初のひと月で、今のところAWSの前年比の収益成長率は10%台半ば 」と、Amazon CFOのBrian Olsavsky氏は決算説明会で発表しています。
「今後の見通しとして、少なくとも今後数四半期は、こうした(エンタープライズITの)最適化の取り組みがAWSの成長にとって逆風となり続けるだろう」
彼は、経済が企業のクラウド支出にどのような影響を与えるかを予測するのは難しいことを認めています。「経済的には少し未知の領域だ。この業界の多くの人が同じことを見ていると思うが、顧客ベースではいくつかのユニークなことが起こっている。そこで、私は水晶玉は持っていないのだが、我々は顧客のために存在するために働き続けるつもりだ」
しかし、CFOは「健全かつ強固な」顧客とのパイプラインを挙げ、次のように付け加えました。「多くの企業が短期的なインフラコストの削減を進めようと、長期的なトレンドは変わらないと思う。お金を節約する最も手っ取り早い方法は、率直に言って、クラウドを導入することです」
今回の減速は、AmazonがAWSの一部の職種を含む18,000人のスタッフをレイオフする計画を発表したことに関連しています。
Microsoft Azure、OpenAIに賭ける
Microsoftのクラウドビジネスの追跡調査は、AWSの場合と比べて本質的に正確性に欠けている。理由は、同社がAzureの収益についてドル評価額を報告していないためです。
その代わりとして、この部門はWindows Server、SQL Server、Nuance、Enterprise Servicesを含む全体的な「Intelligent Cloud」セグメントにバンドルされています。
このセグメントの収益は215億1,000万ドルで、18%増加しました。Azure自体は31%伸びた、と同社は述べていますが、それが何十億ドルに相当するかは明言していません。この数字は、前年の50%という伸びを下回るものでありました。
CFOのAmy Hood氏は、今期はAzureクラウドの成長がさらに鈍化するとの見通しを示しました。
今回の決算説明会では、マイクロソフトのAzure OpenAIサービスに関する宣伝がかなりの部分を占め、OpenAIが開発した人工知能ツールへのアクセスを提供することが明らかにさ れました。
「私たちは基本的に、次の大きなプラットフォームの波はAIになると考えている。そして、この波を捉えることで、企業価値の多くが創出され、その波が私たちの技術スタックのあらゆる部分に影響を与え、新しいソリューションや新しい機会を生み出すと強く信じている」と、CEOのSatya Nadella氏は語っています。
「過去3年半から4年間、私たちはトレーニング用スーパーコンピューターと推論用インフラストラクチャーを構築するために懸命に取り組んできました。つまり、Azureのコアそのものが変貌しつつあるのです」
今月初め、マイクロソフトは、Microsoft Azureを独占的に使用するOpenAIに100億ドルを投資しました。
Google Cloud、いつか黒字にすると約束
Googleは、同社のクラウド部門が32%成長して73億2000万ドルになったと発表しましたが、これは同社が同部門の収益数字を開示し始めて以来最も低い成長率でした。
しかし、Google Cloudは、前年同期の8億9000万ドルの損失から、4億8000万ドルにまで損失を減らすことが出来ました。
同社はまた、サーバーや一部のネットワーク機器の耐用年数を6年に延ばし、数十億ドルのコスト削減を計画しています。
業界3位のクラウドプロバイダーであるGoogle Cloudは、収益性の高い競合他社に遅れをとっています。The Informationによると、同社は年初に営業のトップを一新し、この部門を収益性の高い事業に転換させようとしています。
同部門のCEOであるThomas Kurian氏は2022年2月、その年の後半にはクラウド部門が黒字になるとの見通しをスタッフに語ったと報じられています。
クラウド企業以外では、先週、ハイパースケーラー Meta が、データセンターに関する支出を40億ドル削減する方針を発表しました。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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