Crusoeがテキサス州ビクトリア港に最大1.5GWのデータセンター向け原子力電力供給でBlue Energyと提携

原子力による電力供給は2031年から開始予定

AIデータセンター開発会社のCrusoeは、米国テキサス州ビクトリアのビクトリア港に最大1.5GW規模の原子力データセンターキャンパスを開発するため、米国の原子力発電企業 Blue Energy と提携しました。

Blue Energyによると、計画中の1,600エーカーのCrusoeキャンパスへの電力供給は、早ければ2028年に開始される予定です。当初はガス発電によって電力を供給し、2031年までに原子力発電へと移行する計画です。

同社は、天然ガスを橋渡し燃料として活用することで、電力供給までの期間を36か月以内に短縮できると主張しています。

Blue Energyによれば、このキャンパスはGW規模のAIファクトリーを支えるための立地、既存インフラ、利用可能なエネルギー資源が評価されて選定されました。

既存および計画中の送電線や光ファイバー網に近接しており、米国最大級の天然ガスパイプライン網へのアクセスも可能です。

Crusoeのエネルギーインフラ・開発担当副社長Andrew Likensは、次のように述べています。「Blue Energyのガスから原子力へのアプローチは、まさに我々が求めていたものです。既存の燃料を活用した比類なき市場投入スピードと、原子力による大規模で炭素ゼロのベースロード電源への迅速な移行を両立しています。この提携は、持続可能かつスケーラブルなAIの未来を我々がどのように構築しているかを示すものです。」

他の多くの先進的な原子力企業とは異なり、Blue Energyは原子炉の製造を行っていません。同社は、造船所で製造され現地に輸送されるモジュール式原子力発電所の設計に特化しています。

同社は、自社が「原子炉非依存(reactor agnostic)」であると主張しており、原子炉に合わせて発電所のプラントアーキテクチャ(構造設計)を行うことで、異なる原子炉ベンダーが接続できるようにしていると述べています。また、成熟した軽水炉(light-water reactors)の導入に注力し、原子炉を水槽内に沈めることで安全性を高める方針です。

Blue Energyの共同創業者兼CEOであるJake Jurewiczは、次のように述べています。「AIインフラのリーダーであるCrusoeとの提携は、当社にとって重要な節目となります。世界的なエネルギー需要の高まりに応えるとともに、原子力業界史上初めて、コストとスケジュールの確実性を持つ発電所の建設を目指します。テキサス州に拠点を確立するためにビクトリア港の関係者と協力できることを誇りに思います。地域のパートナー(ビクトリア市や近隣のブルーミントンなど)との連携を進めながら、世界初のプロジェクトファイナンス型原子力発電所の建設に向けて取り組んでいきます。」

Crusoeは2019年に創業され、当初は仮想通貨マイニング事業として、油田で燃焼される天然ガスを活用するコンテナ型データセンターを展開していました。その後、事業を転換し、自社および他社向けの常設データセンターの開発、AIクラウドサービスの提供(リース拠点を含む)へと移行し、仮想通貨マイニング事業は売却しました

同社は、OpenAIとオラクル向けに開発されたテキサス州アビリーンの1.2GW規模のキャンパス(Stargateプロジェクト第1弾)の主要開発企業として知られており、第1フェーズは2025年9月に稼働を開始しました。

今月初め、CrusoeはMubadala CapitalとValor Equity Partnersが主導する最新の資金調達ラウンドで14億ドルを確保し、企業評価額は100億ドルに達しました。

Blue Energyは2023年に設立され、MITの原子力科学・工学部門を母体とし、The Engine VenturesおよびAt One Venturesの支援を受けています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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