スウェーデンの原発キャンパス、データセンターに電力を供給

小型原子炉メーカーのシャーンフル・ネキスト社が商用キャンパスを計画

スウェーデンの原子力企業Kärnfull Next(シャーンフル・ネキスト)社は、スウェーデンの海岸に小型原子炉(SMR)のキャンパスを建設し、データセンターに電力を供給する計画を発表しました。

同社は、スウェーデンの東海岸に位置するNyköping(ニュヒェーピング)の、原子力ソフトウェア会社Studsvikが現在試験炉を運営している場所にキャンパスを建設する計画です。なお、この施設は2030年に稼働開始する予定です。

DCDは同社に対して、どのようなデータセンター・パートナー企業との提携を希望しているかなど、より詳細な情報を求めています。

Kärnfull社はSMRの推進派であり、これは従来の大型原子力プロジェクトのコストと納期の問題を軽減する方法として推進されているものです。

英国のロールス・ロイスや米国のNuscaleを含むSMRプロバイダーは、原子力はカーボンフリーのエネルギーを提供することから、社会の脱炭素化計画の一翼を担わなければならないと主張しています。この小型原子炉の出力は300MW程度で、工場で製造された部品を使用して繰り返し製造することが可能です。このレベルの標準化により、原子力の計画・承認プロセスが短縮されることが期待されています。

同社は5月にStudsvik社のサイト利用に関する実現可能性調査を開始し、12月に完了見込みです。良好な結果に基づき、同社はそこでの商用原子力エネルギー生産の可能性を探る覚書を締結しました。

「原子力技術分野における豊富な専門知識を持つStudsvik社は、私たちにとって完璧なパートナーである」と、Kärnfull Next社の創立者兼CEOのChristian Sjölander氏は述べています。「Studsvikは、すでに存在する3つの原子力発電所に加えて、スウェーデン初の新しい原発として適しているようだ。私たちのビジョンは、ヨーロッパ初のSMRパークのひとつが、2030年代初頭にはここで運転開始されることである。複数の小型原子炉を持つことで、将来に向けた雇用が創出され、他のハイテク産業とのコロケーションの機会にもつながるだろう」

「Kärnfull Next社は、確かな専門知識を持つ信頼できる革新的なパートナーとして、その地位を確立している」とStudsvik社のCEOであるCamilla Hoflund氏は述べています。「我々はこのパートナーシップを歓迎し、実現可能性調査の結果を楽しみにしている。現時点では、まだ条件が十分に調査されておらず、StudsvikにSMRが建設されるまでには長い年月が必要であるため、これがStudsvikにとって何を意味するかを語るのは時期尚早である」

同社は、資金調達、許認可、売電先との電力購入契約の可能性などの側面についてまだ確認中であり、2024年末にはこれらすべてについて最終的な決定を下す予定としています。

Architects Journalのリリースによると、もしプロジェクトが順調に進んだ場合、Instance Architects社がこのプロジェクトの設計を担当することになる模様です。

Instance社のディレクターであるIan Macdonald氏は次のように述べています。「構想されているStudsvik SMRキャンパスは、ゲームチェンジャーとなり、データセンターと原子力の結びつきが、増大するコンピューティング電力需要の問題を、レジリエントな脱炭素供給でいかに解決するかを実証することになるだろう」

米国では、Green Energy Partners社がバージニア州サリー郡に複数のSMRを設置する計画を進めています。このプロジェクトは、既存の大規模原子力発電所に隣接する空き地に計画されています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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