量子コンピューティング企業2023Q3業績: IonQ、Rigetti、D-Wave
量子コンピューティング企業のRigetti、IonQ、D-Waveの3社が2023年第3四半期決算を発表しました。
3社とも増収となり、顧客獲得に成功したものの、量子優位性と古典的シリコンベースのコンピュータを凌駕するシステムに向けて取り組む中、依然として赤字が続いている状況です。
IonQ:収益は増加、損失は拡大、M&Aの可能性も視野に
IonQの第3 四半期収益は610万ドルで、2022年の280万ドルから100%以上増加しました。第3四半期の純損失は4,480万ドル、調整後EBITDA損失は2,240万ドルでした。
なお、2023年第2四半期の収益は550万ドル、純損失は4,370万ドル、調整後EBITDA損失は1,940万ドルでした。
「IonQのPeter Chapman社長兼CEOは次のように述べています。「第3四半期は、量子コンピューティングのエンタープライズ時代を切り開くという、IonQにとって極めて重要な年に新たな大きな一歩を踏み出したことを示した」
「2021年以降、商用化後3年以内に累計1億ドルの売上を達成するという目標を達成し、2023年末までにその目標を上回る勢いであることを報告できて嬉しく思う。IonQの商用パイプラインはこれまで以上に大きく、優れており、当社の技術的な勢いは、常に困難ではあるものの、予定よりも進んでいる」
IonQは、第3四半期に2,630万ドル、9月現在累計で5,840万ドルの新規予約を獲得しました。
手元には4億8500万ドル以上の現金および等価物があり、同社は現時点で「予見可能な追加資本調達の必要性はない」としながらも、近い将来から中期にかけての戦略的成長およびM&Aの機会に資金を供給する選択肢を維持したいと述べています。
決算説明会では、Thomas Kramer CFOは、近い将来から中期的にM&Aの機会が「発生する可能性がある」とコメントしました。
Rigetti: 国立研究所にQPUを納入
Rigettiの第3四半期の収益は310万ドル。3ヶ月間の純損失は2,220万ドルでした。
なお、第2四半期の収益は330万ドル、純損失は1,700万ドルでした。
当四半期、Rigettiは国立研究所に9量子ビットの量子プロセッシング・ユニット(QPU)を納入し、第2四半期にはフェルミ研究所にも納入しました。
「我々は、主要な政府機関や国立研究所が、量子コンピューティングの研究開発を進めるために、当社の確立された製造能力を選択し始めていることに感激している」と、RigettiのCEOであるSubodh Kulkarni博士は述べています。
「当社のQPUへのハンズオンアクセスを提供することで、狭い量子アドバンテージや量子技術のブレークスルーに向けて、より大きな前進が可能になると考えている」
同社のAnkaa-2 84量子ビットシステムは、2023年第4四半期に社外の顧客に提供される見込みのようです。
決算説明会でKulkarni氏は、9,24,84qubitシステムを顧客に提供することについて「10数社」の顧客と話をしていると発言しました。
D-Wave: 収益は増加、損失は鈍化
D-Waveの2023年度第3四半期の収益は260万ドルで、2022年度第3四半期から51%増加しました。
また、2023年度第3四半期の純損失は1,580万ドル(前年同期は1,330万ドルの損失)でした。調整後EBITDA損失は1,160万ドルで、2022年度第3四半期の1,300万ドルの損失から若干減少しました。
同社の第2四半期の収益は170万ドル、純損失は2,590万ドル、調整後EBITDAはマイナス1,490万ドルでした。
なお、第3四半期の予約高は290万ドルでした。
D-WaveのCEOであるAlan Baratz博士は次のように述べています。「D-Waveのアニーリング量子コンピューティング・ソリューションは、今日、実際のビジネスにインパクトを与えており、第3四半期の業績は、D-Waveが企業における量子の波をリードしているという認識の高まりを反映していると考えている」
「また、顧客の予約数、商業収益、商業取引の規模が前四半期比、前年同期比ともに増加した」
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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