IBM、米国で初のオンプレミス型量子コンピュータを導入

IBMは、米国オハイオ州クリーブランドにあるクリーブランド・クリニックのキャンパスに米国で民間で初となるオンプレミス型量子コンピュータIBM Quantum System Oneを導入します。

この動きは、ハイブリッドクラウドAI、および量子コンピューティングでの高性能コンピューティングの使用を通じてヘルスケアやライフサイエンス分野における発見ペースの向上を目的とする共同研究センターの設立に向けた10年間のパートナーシップの一環となります。

オンプレミスの量子コンピュータ

「この革新的なコラボレーションを通じて、私たちは未来を生き生きとさせる唯一の機会を得ることとなる」とクリーブランド・クリニックのCEO兼社長のTom Mihaljevic医学博士は述べています。「これらの新しいコンピューティングテクノロジーは、ライフサイエンスにおける革命的な発見を支援する。「Discovery Acceleratorにより、当社の著名なチームが将来を見据えたデジタルインフラを構築し、医療の変革に貢献するとともに、将来の労働力を育成し、潜在的な経済成長を実現するだろう」

クリーブランド・クリニックは、オンプレミスの量子システムに加えて、IBMが現在保有する20台以上の量子システムをクラウド経由で利用できるようになります。この新しいDiscovery Acceleratorセンターでは、ゲノミクス、シングルセルトランスクリプトミクス(single cell transcriptomics)、集団医学(Population Health)、臨床応用(clinical application)、化学・創薬の分野での研究が行われます。

IBMは、System Oneに加えて、2023年までに同社初の1,000量子ビット以上の量子システムを発表したいと考えており、クリーブランド・クリニックは、民間企業で初のシステムをオンプレミスに導入するサイトになる予定です。

「クリーブランド・クリニックとの新たなコラボレーションにより、ヘルスケアとライフサイエンスにおける彼らの世界的に著名な専門知識とIBMの次世代テクノロジーを結び付け、科学的発見をより早く、そしてその発見の範囲をこれまで以上に拡大するだろう」IBMの会長兼CEOであるArvind Krishna氏はこのように述べています。 

2019年に初めて発表された「System One」は、厚さ0.5インチのホウケイ酸ガラスで作られた9フィートの密閉型キューブに収められています。今回の仕様は明らかにされていませんが、IBMによると、同社最大の量子コンピュータは、現在65量子ビットを搭載することができるようです。同社は、127量子ビットのIBM Quantum Eagleプロセッサを2021年中にリリースする予定です。

1921年に設立されたクリーブランド・クリニックは、非営利の学術医療センターです。クリーブランドのダウンタウンに近い173エーカーのメインキャンパスには、19の病院、220以上の外来施設があり、アメリカ国内だけでなく世界中に拠点を持っています。また、オハイオ州ブレックスビルには、3MW、263,000平方フィートのデータセンターがあります。

Data Center Dynamics

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