
OCPメンバー、AI電力需要増大を背景にデータセンターでの直流(DC)化を推進
低電圧直流(DC)プロジェクト、効率的なサーバー実現を目指す
Open Compute Project(OCP)のメンバーは、高密度AIラックのためにデータセンターで低電圧直流(LVDC)を実現するというミッションに、より多くのデジタルインフラ企業が参加するよう呼びかけています。
Google、ABB、Siemensなどの企業は、データセンターへのLVDC供給を標準化する方法を検討するワーキンググループ(WG)を結成しました。
このWGは3月、170ページに及ぶホワイトペーパーを公開し、コロケーション内部を完全な直流(DC)化することの利点と、それに伴う課題および機会を提示しています。
今週、スペイン・バルセロナで開催されたOCP EMEAカンファレンスでは、関係者がこの変革の必要性を説明するとともに、標準化に向けて業界全体からさらなる意見を求めています。
AC/DC:なぜ今、データセンターでDC電力なのか?
従来のデータセンターの電力供給システムは、商用電力網から交流(AC)を受け取り、それを複数段階の変換プロセスに通します。まずサイトのバッテリーやUPS向けにDCへ変換し、その後ITラックに供給するために再びACへ戻し、さらにサーバーとそのコンポーネントへ供給するためにDCへ変換します。
このように複数の変換を挟むことで各段階で損失が発生するため、このプロセスは非効率的です。そのため、業界の一部では完全DC化された設備であれば、大量の電力をデータセンターに直接供給するより効率的な方法を提供できると長年主張されてきました。DCDはこれまでの取り組みを詳細に取り上げてきましたが、様々な理由により、広く導入には至っていません。
しかし、AIとその急速に増大する電力需要が状況を変えつつあります。従来のサーバーラックは数kW程度の電力を必要としていましたが、現在の高密度ラックは約120kWに達しています。一方でNvidiaは、将来的にラックあたり最大1MWの電力が必要になる可能性があると警告しています。
Eatonの副社長兼チーフデータセンターアーキテクトであるJP Buzzellは、次のように述べています。
「これを現実にする必要があるのは、コンピューティングがそれを必要としているからです。これは液冷への移行を後押ししたのと同じ理由です。サイがドアに向かって突進してきているようなものです。我々はそのサイが通れるだけの大きさのドアを作らなければなりません。そうしなければ衝突してしまいます。」
サイドカーからの脱却
データセンターにおけるLVDCへの第一歩は、昨年 Microsoft、Meta、Googleが主導するOCPプロジェクトである「Mount Diablo」の開発によって実現しました。このプロジェクトでは、コンピューティングと電源を分離したラック設計が考案されました。従来のように両方を同一ラックに収めるのではなく、電源部分を「サイドカー」と呼ばれる別ユニットに分離し、メインラックのスペースはすべてコンピューティング専用となっています。
このプロジェクトをMicrosoft在籍時に主導したエンジニアの1人であるJason Adrianは、現在GoogleのデータセンターチームでAIシステムアーキテクトを務めています。彼はOCPカンファレンスで、Mount DiabloによりLVDCの導入が可能となり、AC入力を最大400V DCに変換できるようになると説明しています。これは今後のAIハードウェアにとって十分な電力レベルです。
Adrianは次のように述べています。「我々はすでにラックから部品を取り出し始めています。しかしそれはサイドカーのようなもので、追加の作業と課題を伴います。私たちは、この暫定的な解決策から、成長に合わせて拡張できる長期的な解決策へとどのように移行していくかについて話し合っています。」
WGのホワイトペーパーでは、電力変換機能をサーバー室外の変圧器で行うアーキテクチャを提案しています。これによりサーバー室内の空きスペース全てをコンピューティングに充当することが可能になるとしています。ラックへの電力供給は用途に応じて異なり、すべてのラックを接続するDCバスバーや電力ケーブル、あるいはその両方の組み合わせが想定されています。
「この構成により、サーバーには最大800V DCの電力供給が可能となり、将来的には1500V DCまで拡張できる可能性が示されています。」と、同氏は付け加えました。
この目的のために、ACからDCへの電力変換技術としてWGは2つの方式を標準化する可能性があります。1つは業界で使用されている従来型の変圧器整流器ユニット(TRW)であり、「非常に安定しており、技術も確立されていて導入も容易だ」とAdrianは述べています。もう1つはソリッドステートトランス(SST)であり、大電力をより高効率に処理できるのではないかと期待されています。SSTの開発企業の1つであるDG Matrixは、今年初めに6,000万ドルを調達しており、この技術への関心の高さを示しています。
AdrianはSSTについて「非常に刺激的な技術」であり「効率が大幅に向上している」と評価しつつも、「この技術をMW級やGW級の規模にまで拡大するには技術的課題が残ります」と述べています。
さらに同氏は、WGが今年後半にホワイトペーパーの改訂版を公開する予定であることを示し、より多くの企業の参加を呼びかけています。
そのうえで、今回の取り組みの本質について次のように述べています。「これは一夜にして実現するものではなく、偶然に起こるものでもありません。我々は非常に明確な方針を持つ必要があり、そのためには仕様策定と相互運用性が重要です。」
「どのベンダーも、我々が議論しているすべての技術を提供することはできません。需要と期待はすでに存在しています。我々はその解決策が必要です。そのためにはオープンな仕様を作る必要があります。」
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
















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