AWS、耐障害性を備えた新しい量子コンピュータの理論上の設計図を発表

AWSセンター・フォー・クオンタム・コンピューティング(AWS Center for Quantum Computing)は、初のアーキテクチャ論文において、フォールト・トレラントな量子コンピュータの理論的な青写真について説明しました。

この論文では、多数の物理的量子ビットを用いて、保護された(または論理的)量子ビットに情報を冗長的にエンコードすることで、ゲートエラー率を低減するという、量子エラー訂正の新しいアプローチが提案されています。

Amazon Web Servicesは現在、独自の量子コンピュータシステムを持っていませんが、代わりにクラウドサービス「Braket」上で多くのシステムへのアクセスを提供しています。

極めて単純化されているが、それでも複雑すぎる

AWSの研究者らは、今回の研究成果に関する発表記事の中で、次のように記しています。「エラー補正された量子コンピュータは、エラーが発生しやすいノイズの多いハードウェアであるにもかかわらず、複雑な量子アルゴリズムを実行することができる」

「しかし、注意すべき点は、大規模に量子エラー訂正を実装することは、科学的にも工学的にも途方もない挑戦であり、また量子コンピューティングの分野はまだ開発の初期段階にあるということである。特に、surface code(表面符号)のような一般的なアプローチのリソースオーバーヘッドは非常に大きく、符号化された論理量子ビットごとに数百から数千の物理量子ビットが必要になる」

新しいアーキテクチャでは、代わりに「cat qubits」を使って情報を符号化します。この場合、量子ビットは逆位相のコヒーレントな状態の量子重ね合わせに保たれます。

ハードウェア面では、音響共振器と超伝導回路を2次元的に配置したシステムを使用します。

「このシステムは、音響-電気ハイブリッドデバイスを用いて、ディフェーズに支配された高バイアスのノイズで安定化されたキャットコードを実装している」と論文では述べられています。「このキャットコードは、主にディフェージングエラーの修正に焦点を当てた外部コードと連結される。フォールトトレラントな量子アルゴリズムを実行するためのオーバーヘッドを推定した結果、このアプローチの有望性が示された」

この量子コンピューティングシステムは構築されたものではなく、AWSの従来のクラウド上でシミュレートされたものです。

「我々の現在の提案を改善するために、今後の研究にはいくつかの興味深い方向性がある」と研究者らは述べています。

Data Center Dynamics

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