Apple、米国とカナダで衛星を利用したSOSサービスを開始

iPhone 14ユーザーは、モバイル通信やWiFiが利用できなくても、緊急サービスに接続可能に

Appleは、米国とカナダを最初の市場とし、衛星を利用した緊急SOSサービスを開始しました。

このサービスでは、携帯電話通信網の届かない場所からでも緊急SOSアラートを送信できるようになり、現在iPhone 14ユーザーのみが利用可能となります。

現在、多くの通信事業者がより辺境地域への広いカバレッジを提供する目的で衛星通信事業者との連携を進める動きの中、今回の発表が行われた形です。

Appleは、このサービスを提供するために、アメリカの衛星通信事業者である Globalstar社と提携しました。1991年に設立された Globalstarは、低地球軌道衛星の製造を専門としており、Elon Musk氏傘下のSpaceXと共同で、6月のFalcon 9ロケットの打ち上げを支援しました。

同社はまた、来月にはフランス、ドイツ、アイルランド、英国へもこのサービスの提供を拡大することを明らかにしています。

Appleによると、ユーザーが緊急SOSサービスを発信すると、複数選択肢のアンケートで状況を把握し、その情報が衛星に送信されるとのことです。このサービスは、LバンドとSバンドの周波数帯を使用し、最初の2年間は無料で利用できる、と説明しています。

Globalstarは現在24機の衛星を運用しており、これらの衛星はApple社のSOS機能を米国内の辺境地域にいるユーザーと接続するために使用されています。同社は今後、さらに多くの衛星を開発するとしており、Appleは衛星にかかる認可費用の95%を負担するとしています。

今年初め、GlobalstarはカナダのMacdonald, Dettwiler, and Associates Corporation(MDA)社に3億2700万ドルを支払い、「非公開の顧客」に向けて新たに500kg衛星17基を購入しましたが、これはどうやらAppleであったと思われます。

Appleに限った話ではない…

昨今、地球低軌道衛星を利用したモバイル接続の可能性を追求する企業は他にも出て来ています。 T-Mobileは今年初め、SpaceXと共同で宇宙からのモバイル通信を提供し、Starlink衛星を通じて2〜4Mbpsの速度を保証し、通信不能エリアをなくすことを目指しています。

また、ベルギーの通信会社BICSは、衛星直収型通信会社Lynkと契約を結び、衛星経由で辺境地域へのモバイルカバレッジを拡大する方針を示しました。Lynk社は今年初め、Lynk Tower 1という衛星を宇宙に打ち上げ、これは、衛星直収型電話サービスを運営するためのFCC免許を取得した最初の衛星となりました。

一方、AST SpaceMobileも独自の衛星直収型通信衛星のコンステレーションを開発しており、VodafoneやAT&Tと契約を交わしています。

中国系のメーカーでAppleの競合でもあるHuaweiも、新型スマートフォン「Mate 50」で衛星通信によるメール送信機能を提供するなど、この分野での実力を示しています。

シンガポールの衛星通信事業者Kacific Broadband Satellitesは最近、トンガ通信公社(TCC)と契約を結び、同国内でサービスが行き届いていない地域の接続を改善することに成功しました。

トンガでは自然災害による停電がよく起こるため、この提携によりKacificは停電時にトンガを支援できる体制を整えました。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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