韓国と日本のDC投資家が用地探しに苦戦

CBREの最新レポートによると、AIクラウドの成長により、データセンターに対する投資家の信頼は今後10年間で強まると予想される一方、韓国の投資家は手頃な電力と土地を見つけるために、ソウルのような高価な既存市場以外に目を向ける傾向が強まっています。一方、日本では、電力、特に再生可能エネルギーの確保というハードルに直面しながらも、多くの企業が既存の産業用ビルをデータセンターに転換することを検討しています。

アジア太平洋地域のデータセンターの動向と機会 Asia Pacific Data Center Trends and Opportunities」と題された本レポートでは、アジア太平洋地域全体で負債コストが上昇しているにもかかわらず、データセンターの利回りは過去12~24か月間比較的安定しており、投資家の関心を引き付けていると述べています。しかし、特に韓国と日本では、手頃な価格の土地と、信頼できるエネルギー供給が利用可能かどうかが懸念されています。

韓国 電力制約によりDC開発をソウルから地方へ移行

本レポートによると、韓国では、ソウルのような既成市場においてデータセンター開発用の土地が限られているため、土地価格が大幅に上昇しており、投資家とエンドユーザーが電源付き土地を確保するために競争しています。2024年以降、韓国電力公社(KEPCO)は新規データセンタープロジェクトへの電力供給を制限しています。「今後も供給が逼迫することが予想されるため、投資家や運営企業の間で利用可能な選択肢を巡る競争が一層激化する」と見られています。

また、ソウルの動向については、電力不足がデータセンター事業者に首都圏で10MW程度の小規模施設を志向する傾向が強まっていると指摘されています。一方、地元のコングロマリットは、半島南部の亀尾(Gumi)や蔚山(Ulsan)といった場所にデータセンターを建設しようとしています。

日本 既存の産業ユニットの再利用

日本に関しては、十分な電力供給の確保が依然として課題であり、企業はグリーンエネルギーにアクセスできる大都市以外の土地を探し始めています。さらに、東京と大阪では土地の供給が限られているため、事業者は京都、和歌山、広島に目を向けています。

一方、2020年から2023年にかけては、あらゆるタイプのデータセンターの賃料が上昇しました。同レポートでは、「しかし、供給サイクルがピークを迎え、事業者が利用者を呼び込むために賃料の上昇を抑えたため、2024年の賃料は前年比横ばいとなり、この傾向は2025年も続くとみられています。外資からの直接投資は引き続き好調で、機関投資家が資本のリサイクルを図る中、この傾向は続くだろう」と述べています。

さらに、「いくつかの外資系投資家は、メガ規模のbuilt-to-suite(BTS型施設)データセンターキャンパスを建設している一方、一部の国内企業は、電力容量に余裕のある古い工場をデータセンターに転用しようとしています」と述べています。しかし、これも、課題がないわけではありません。「事業者は、顧客固有の建設要求を満たすことが難しくなっているため、転換を行うことがより困難になってきています」と付け加えました。

しかし、もうひとつ新たな懸念があり、それはAIに対応したデータセンターの建設に関するものです。「2025年から2026年に予定されている供給は、AIの需要が高まる前に設計されたものであるため、AIの需要に対応するようには設計されていません」とレポートは述べています。2027年から2029年頃には、AIに対応した供給が可能になると予測しています。

W.Media ( Deborah Grey 記者)より抄訳・転載

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