
北米におけるデータセンター需要は引き続き増加~JLL調べ
レポートは2025年上半期を対象に分析
JLLの北米データセンター中間レポートによると、北米におけるデータセンターの需要は引き続き増加しています。
2020年以降、北米の主要市場は規模が2〜3倍に拡大しており、特にバージニア北部、テキサス州ダラス、ジョージア州アトランタでの容量増加が顕著です。
JLLは、供給と需要の不均衡が今後も続くと予測しています。「AIの導入、デジタル変革の取り組み、クラウド移行の組み合わせが、業界が迅速に対応しきれないほどの需要の『完璧な嵐』を生み出しており、現在の供給不足を引き起こしています。このため、データセンターの容量を確保しようとする企業にとって、将来を見据えた計画がこれまで以上に重要になっています。」
コロケーションの空室率は、過去最低の2.3%にまで低下しており、昨年の記録的な3%からさらに下がっています。
現在、建設中の施設は合計で8GWに達しており、これは5年前の約10倍の規模です。事前契約済みの開発案件の割合は昨年よりも低下しており、2024年は84%だったのに対し、2025年は73%となっていますが、それでも依然として高水準を維持しています。レポートではさらに、「空室率は2027年まで5%未満にとどまる可能性が高い」とし、「データセンターの運用拡大を検討している企業は、新規開発案件での事前契約に限られる可能性がある」と述べられています。
JLLのデータセンター開発・サービス部門責任者であるMatt Landekは、次のように述べています。「建てれば自然に顧客が集まるという時代は、もはや過去のものです。現在見られるのは『建設前に契約しなければ、入居できない』という状況です。これは、企業がデータセンター戦略に取り組む方法を根本的に変えつつあります。」
「かつては6〜12か月前に計画していたエンタープライズユーザーは、現在、導入予定日の18〜24か月前、場合によってはそれよりも早く、容量と施設および運用チームを確保しています。」
2025年上半期、北米では2.2GWの容量が吸収され、そのほぼすべてが事前契約によるものでした。コロケーション需要は、バージニア北部とダラスなどの主要市場に集中しており、2025年上半期の吸収量の50%を占めています。
賃料の上昇率は前年比で3%に鈍化したものの、過去3年間の年平均成長率(CAGR)は12%となっています。商業用電力料金は2020年以降で30%上昇しており、開発活動の75%は電力コストの低い地域に集中しています。
データセンター業界は、2019年から2025年の間に時価総額が161%増加しており、これは工業セクターにわずか2%差で迫る成長率です。「止まらないテナント需要、限られた供給、そして上昇する賃料」により、データセンターは不動産資産クラスとして好まれる存在となっています。さらに、商業用不動産銀行、プロジェクトファイナンスの貸し手、生命保険会社、デットファンドなど、融資を行う金融機関の層も拡大しています。
債券市場も拡大しており、資産担保証券(ABS)や単一資産・単一借入(SASB)ローンの取引は3年連続で増加しました。
JLLは、2025年上半期に14件の資産担保証券(ABS)取引を記録しており、総額は77億ドルに達しました。これには、4月に実施されたTierPointによる5億ドルの証券化取引も含まれています。これは前年同期の11件を上回る件数です。また、2025年上半期には4件の単一資産・単一借入型(SASB)取引も成立しており、こちらも総額は77億ドルでした。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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