
Moody’s:ハイパースケーラーがAIデータセンター短期リース契約のリスクを過小評価、投資家は状況不明のまま
公式開示資料では長期的な経済リスクの全容を示せず
Moody’s Ratingsの報告書によると、ハイパースケーラーはAI関連の短期リース契約によって重大なリスクを抱えており、その結果、財務面や運営面での柔軟性が低下し、投資家が損失を被る可能性があることが明らかになりました。
これらの短期契約は、前払いの資本投資である設備投資は抑える効果がありますが、ハイパースケーラーは経済リスクを過小評価している可能性があります。特に、AI市場で期待される収益が実現しない場合、投資家は重大なリスクにさらされることになります。
米国のデータセンターのリース期間は従来、歴史的に10〜15年とされてきましたが、AIの急速な成長に伴い、コンピューティングインフラの寿命に合わせてリース期間が短縮されています。
これらのリース契約は、借り手による大規模なオフバランスシート保証によって支えられることが多いです。Moody’sは、この信用を評価するには「借り手の全リース契約内容、更新期間、ResidualValueGuarantees(RVG:残存価値保証)」を詳しく分析する必要があると述べています。
通常、借り手がリースを早期に解約したり更新しなかった場合、RVGは資産価値の不足分を補う役割を果たします。
しかし、AIワークロードの増加とそれに伴うハードウェアサイクルの劇的な速さのため、ハイパースケーラー側はリースの更新が「合理的に確実」とは言えないと主張することができてしまう。その結果、延長期間やRVGをリース負債から除外することが可能です。
同社は、これにより公式な開示情報では「長期的な経済リスクの全体像を示すことができない」という「報告の先送り(レポーティング・デフェラル)」が生じていると指摘しています。
同社のデータによると、2025年にはハイパースケーラーのデータセンター契約が大幅に増加し、将来のリース契約総額は9,690億ドルに達します。そのうち3分の2以上にあたる6,620億ドルは、まだ開始されていないリースに充てられています。
同社の報告書は、以下のように述べています。 「これを比較すると、まだ貸借対照表に計上されていないリース関連額は、ハイパースケール企業の直近の調整後債務の113%に相当します。今後数年で、これらの企業の調整後債務およびリース関連のキャッシュアウトフロー(現金流出)は大幅に増加すると予想されます。」
「利益の増加によってこの影響はある程度緩和されると見込まれますが、AI市場の成長や収益性には大きな不確実性があることを認識しています。資産をリースすることで企業の初期投資は抑えられますが、多額のリース契約を抱えることは、特に業界の状況が急速に変化した場合に、企業の財務面や運営面での柔軟性を低下させます。データセンターは所有されていないため、追加融資を支えるために、売却したり担保に入れることもできません。」
これらの短期リースは、建設中または建設開始間近の資産を対象としており、ハイパースケーラーが管理権を持つのは少なくとも2〜3年先のことです。同社は、こうしたリース延長の判断は、ハイパースケーラーがハードウェアへの追加投資を行う意欲に左右されると指摘しています。というのも、これらのデータセンターで使用される主要な技術コンポーネントの耐用年数が4〜6年であるためです。
つまり、そのようなデータセンターに関するリース更新の判断は、企業のAI戦略が大きく変化している時期に行われる「より重要な」資本投資の判断であることを意味します。
報告書は、「リース更新に関するこれらすべての不確実性は、関連するリース期間が不確実な状況下で、貸主(およびその債権者)がこれほど大規模で専門的な資産の建設にどのように慎重になるのか、投資家に正当に疑問を抱かせる理由となる」と述べています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
















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