APACデータセンター、シンガポール、東京、シドニーが牽引役となり急成長

アジア太平洋地域のデータセンター供給量は力強い成長を遂げており、特にシンガポール、東京、シドニーでは現在、各拠点が0.5ギガワット(GW)以上の電力供給能力を誇るまでになっています。

CBREの「Global Data Center Trends 2023」によると、旺盛な需要は空室率の低下にも表れているとしています。世界で最も電力制約の厳しいデータセンター市場であるシンガポールでは、利用可能容量が4MW未満であり、空室率は2%未満と過去最低を記録しています。東京と香港の空室率は前年比1.5%減と大幅に低下し、現在は2%となっています。

アジア太平洋地域のコロケーション賃貸料金は引き続き堅調であり、シンガポールは1kWあたり300米ドルを超え、世界で最も高額な市場のひとつとなっています。CBREの予測によると、アジア太平洋地域のデータセンターの稼働率は引き続き高まっており、この持続的な需要を受けて、事業者は容量の拡張に乗り出しています。その結果、クラウド・サービス・プロバイダーや企業のニーズに対応した、十分なコロケーション・スペースが提供されることになるでしょう。

東京では、クラウドベースのローカルサービスへの強い需要があり、データセンターのキャパシティ拡大を牽引しています。東京はアジア太平洋地域におけるデータセンターの主要市場であることに変わりはありません。2025年までに新規供給量が約30%増加すると予測されており、東京では今後も需要が続くと見られています。

香港については、地政学的な緊張の影響で、一部のグローバル企業はデータセンターの設立や拡張を他の地域に求めています。

シドニーは引き続き世界のクラウドサービスプロバイダー、事業者、投資家からの注目を集めています。ゲーム、コンテンツストリーミング、産業用IoTアプリケーション、AIがデータセンターの成長を牽引すると考えられています。

インドは、隆盛を極める金融サービス企業の存在、光ファイバー接続による確立されたエコシステム、政府の強力な支援に後押しされた強力な新興市場と見なされています。同国での開発を計画しているグローバル企業には、Blackstone、Brookfield-Digital Realty、Princeton Digital Group などがあります。

韓国は成長市場で、Actis、Digital Edge、SC Zeus、STT GDC、Stack Infrastructureなどの大手事業者各社が開発を進めています。韓国のデータセンター開発における主要地域は、京畿と仁川です。

しかし、このような急速な拡大は、アジア太平洋市場の一部の事業者にとって新たな課題ももたらしています。限定的な電力供給量と高い持続可能性要件が、シンガポールの在庫を逼迫させ、コロケーション価格を高止まりさせる原因となっています。こうした状況は、マレーシアのジョホールなどにも波及しています。

W.Media (  Shenton Gomez 記者 )より抄訳・転載

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