データセンターは電力グリッドを支える大きな役割を果たす【Omdia社調査】
調査会社Omdiaの画期的な調査によると、今後4年以内にデータセンター事業者は、電力グリッドと連動して重要なエネルギー管理をサポートする無停電電源装置(UPS)を導入することが明らかになっています。
再生可能エネルギーの利用はあらゆる面で拡大しており、データセンター業界では新常識となりつつあります。変動する再生可能エネルギー資源をよりダイナミックな電力グリッドに統合するためには、新たな課題と技術的要件が伴います。
データセンターはバックアップ電源システムの一部にアクセスできるようにすることで、電力グリッドの信頼性を向上させることができるユニークなポジションにあります。データセンターのUPSは、高効率化、設置面積の縮小、バッテリーのエネルギー貯蔵システム(ESS)の改善、監視システムなど、進化を続けています。
スマートグリッド対応のUPSは、電力網を感知して相互作用する技術を搭載しており、データセンターがエネルギー消費の量とタイミングをよりスマートに判断できるようにし、より持続可能なデータセンターの実現に寄与します。
Omdiaのデータセンター電力・冷却・持続可能性リサーチの主任アナリストであるMoises Levyは、「再生可能エネルギーをスマート電力グリッドに統合する際、スマートグリッド対応のUPSは、再生可能資源の予測不可能性を平準化してエネルギー供給と需要のバランスをとり、電力網インフラ投資を削減または延期するために有益です」と述べています。「EATON、シュナイダーエレクトリック、Vertivなどのメーカーは、すでにこのような機能を備えたUPSを提供しています。」
この重要なテーマに関するあらゆる視点を把握するため、Omdiaは、北米、北欧、英国、アイルランド、フランス、ドイツ、オーストラリアのデータセンター事業者、エンジニアリング、建築、コンサルティング会社、電力会社などを対象に調査を実施しました。
約380の回答者が、スマートグリッド対応のUPSを採用する一番の理由は、持続可能性の取り組みに貢献することだと回答しています。次いで、技術革新のパイオニア、評判と競争上の優位性となっています。重要なことは回答者の大半が、スマートグリッド対応UPSを使用することによってミッションクリティカルなワークロードが危険にさらされることはないと確信していると回答していることです。
クラウドサービスプロバイダーは、調査回答者の約半数がスマートグリッド対応UPSから最も恩恵を受ける可能性が高い業種として指摘しています。しかしデータセンターを運営している限り、あらゆる業種の企業が話の対象になっています。地域別では、北欧とイギリス・アイルランドが、グリッドと連動する機能を備えたUPSの導入数でリードしています。
回答者の約80%が、現在データセンターにあるバッテリーの容量の10~50%が余剰であり、電力グリッドのサポートに使用できる可能性があると推定しています。これは、可変的な再生可能エネルギー源を電力グリッドに統合するための重要な手段となるでしょう。ほとんどの回答者が、この技術の活用から最も恩恵を受けるマイクログリッド用途は太陽光発電と風力発電であると回答しています。
OmdiaのCloud and Data Center Research PracticeのリサーチディレクターVlad Galaboyは、次のように述べています。「データセンター産業は、デジタル経済の基幹産業であり、私たちのビジネスやコミュニケーション、革新的な技術の開発において、大幅な効率化を可能にしてきました。この観点からデータセンターはすでに世界をより持続可能なものにするための力となっています。スマートグリッドに対応したUPS技術の出現と普及により、データセンターはさらに持続可能な世界を実現しつつあります。
Omdiaの無停電電源装置(UPS)インテリジェンスサービスは、UPSのハードウェアとサービス市場の包括的な洞察と予測をカバーしています。OmdiaのUPSトラッカーは、市場の既存の詳細なデータベースを基に進化を続けています。このレポートにより、お客様は詳細なデータ、トレンド、予測、そして信頼できる洞察を習得することができます。
Digital Infra Network (Michael Nelson 記者)より抄訳・転載
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