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【特集記事】自然災害への備え

準備しましょう

長期的には、湿気は「水トリー( 高圧ケーブルの絶縁体に侵入した水分が樹枝状の亀裂を生じる状態) 」を引き起こす可能性があり、絶縁劣化がひび割れを伝播し、最終的にケーブルの破損につながる可能性があります。水トリーは、製造中や輸送中、あるいは作業中の引っ張りなどから発生するケーブルのストレス箇所から始まります。

– Thinkstock/inusuke

これらの環境に最適化されたケーブル(例:TR-XLPEやLC)を使用すると、このリスクを減らすことができますが、すべてのケーブル障害がケーブル絶縁の破壊によるものではありません。スプライス、結線、および接合部もまた、不十分な施工により水の浸入につながる可能性があります。

電源ケーブルと同様に、同じく考慮すべき事項は地下に設置された光ファイバケーブルにも当てはまります。ひび割れに染み込んだ水分子は信号の減衰を引き起こし、コネクタは腐食し、凍結すると機械的損傷を引き起こす可能性があります。

屋外ケーブルは、水の浸入を最小限に抑え、過酷な環境に耐えるためにゲル充填チューブまたは水膨潤性材料を使用しますが、電源ケーブルと同様に、コネクター部が最も弱点と言えます。水の浸入を防ぎ、湿気を最小限に抑えることが、重要な光ファイバ設備を保護するための最善の方法です。

将来はどうでしょう?気候変動はインフラ設備にとって最大の脅威となる可能性があります。英国では、DEFRA(英国の環境・食糧・農村地域省)のAEAの報告によると、洪水の増加は電波塔、 送電用鉄塔 、データセンター、電話交換局、無線基地局などを含む重要な設備の損傷を引き起こすと予想されています。

米国では、米国地球変動研究プログラム(USGCRP)の第3回National Climate Assessmentで同様のリスクを報告しています。

過去1世紀にわたり、世界の平均海面水位は約20㎝上昇し、今世紀中には30〜120cm上昇すると予測され、土壌浸食、高潮被害、そして沿岸地域での洪水の危険性が高まっています。米国では、ボストン、ニューヨーク、マイアミ、サンマテオ、ニューアークなどの大都市を含む490近くの地域が、今世紀中に慢性的な浸水被害に直面すると言われています。これらの都市にあるデータセンターは当然洪水の危険にさらされます。

直近の論文「Lights Out:インターネットインフラストラクチャに対する気候変動のリスク」では、2030年までに海抜1フィートの上昇で235のデータセンターが影響を受け、771の POP 、53の 陸揚局 、42の IX が影響を受けると予測しています。

控えめな予測ですが、今世紀末までには4,067マイルの光ファイバーダクトが水没するでしょう。これは、耐候性と耐水性を考慮して設計されていますが、水没を考慮して設計されていません。また、これら設備の一部は20年以上前から使用されています。

データセンターにとって、他の危険範囲として、屋上のケーブルやパイプ、外壁にある電源システム、または外部回線引込室への接続箇所などが含まれます。建物の外壁を貫通するすべての箇所は、潜在的な漏水箇所となり得、適切に封印されるべきです。

新しいデータセンターは沿岸地域以外にも建てることができますが、特定の地域では大規模な暴風雨の発生が増加しています。気候が1℃上昇するごとに、大気中の水分は7パーセント多くなります。3〜5℃と予測されている世界的な気温上昇に基づくと、将来豪雨はさらに頻繁に発生し、局所的な洪水を引き起こし、 洪水危険エリアも拡大していく可能性があります。

警告をしているにもかかわらず、最近行った867社のデータセンターに対する調査では、気候変動を考慮し「気温の上昇、洪水の増加、または水不足に基づいてサイト選定を再検討する」と答えたのはわずか14%でした。洪水リスクの増加を軽減するための対策を講じている人の割合は11%に留まりました。

この結果は、まだごくわずかですが、気候変動と洪水の脅威が認識され始めていることを示しています。将来のデータセンターは水害の脅威から保護しなければなりません。既にいくつかのサイトでは積極的な対策を施され始めています。

【著者】 Jason Hood氏 Roxtec International

Data Center Dynamics

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