バイデン大統領、ソーラーパネル輸入関税を緩和、国内生産を促進
バイデン大統領は、ソーラーパネル不足が米国内のクリーンエネルギー・プロジェクトを停滞させていると報告されたことを受け、中国原産の太陽光パネルの輸入を阻止するために設けられていた関税の緩和に踏み切りました。同時に大統領は、1950年からの調達法を利用し、太陽光エネルギー関連機器の国内生産を促進させることを約束しました。
バイデン大統領は月曜日に発表した大統領令の中で、中国メーカーが他国を経由して輸出することで関税を逃れるのを防止するために課していたカンボジア、マレーシア、タイ、ベトナムからのソーラーパネルへの輸入関税を2年間停止することを発表しました。また、国防生産法(DPA)を活用し、国内のソーラーパネル生産を加速させることも提案しました。
太陽光発電の架け橋
データセンターでは、太陽光発電所などのクリーン電力の設置費用を電力購入契約(PPA)で賄うケースが増えていますが、苦境にある米国のソーラーパネル産業を保護するために設けられた関税によってソーラーパネルの不足現象が起き、米国でこうしたプロジェクトを完了させるのは困難な状況でした。
バイデン大統領は、米国を拠点とする太陽光発電産業の確立を望んでいますが、現在、米国は世界のソーラー関連機器の約3%の製造にとどまり、大半は中国から輸入されている状況です。この大統領令では、中国製パネルを阻止する動きは短期的には逆効果であるとし、米国基盤の産業への「架け橋」を作り、国産のソーラーパネルを促進しつつ、2年間はそれらの第三国からの輸入を認めることを提案するものとしています。
「バイデン大統領は、クリーンエネルギー投資と減税を可決するよう議会を後押しし続ける一方で、この進捗状況を迅速に構築し、米国製クリーンエネルギーの未来への架け橋を作るために大胆な行動を起こしている 」と、大統領令には記されています。
これは、朝鮮戦争時に制定された国防生産法(DPA)を活用し、必要とされる装置の生産を確保するために政府が介入することを認め、ソーラーパネル部品を含むクリーンエネルギー技術の国内生産の加速を提案しています。詳細は不明ではあるが、ロイター通信によると、融資や補助金が行われるようです。
バイデン氏の大統領令ではまた、連邦政府機関に対し、米国業者への太陽光発電設備の大量発注を利用し、「超優先」ステータスを与え、国内の太陽光発電製造能力を刺激する調達を行うよう求めています。
最後に、関税撤廃は24ヶ月間という厳しい制限付きで提案されています。「我々の貿易法とプロセスの整合性を強化しつつ、米国の太陽光発電事業者がクリーンエネルギー事業と21世紀の電力網を構築するために必要な部品の安定供給を確保するためである」
今回の一時措置の終了後、商務省は、中国製ソーラーパネルを第三国経由で米国に輸出し、輸入関税を逃れている企業への罰則を再開する予定です。
尚この大統領令は、ヒートポンプ、建物の断熱材、水素製造用の電解槽、変圧器やその他のグリッドバランシング機器など、その他のクリーンエネルギー関連機器にも適用されます。
この一時措置の前には、商務省の調査では、他のアジア諸国を経由した商品には最大250%の遡及関税が適用され、ソーラーパネルの輸入がさらに厳しく締め付けられるのではないかと懸念されていました。
バイデン政権は、米国は2024年までに太陽光発電の製造能力を3倍にすることができるとしています。The Vergeによると、米国がこの10年間で排出量を半減させるという約束を果たすためには、これが不可欠になると言います。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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